2009 Fiscal Year Annual Research Report
精子ユビキチンープロテアソーム系の構造特性と生殖における役割
Project/Area Number |
21390019
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 均 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (60158946)
|
Keywords | 受精 / 精子 / プロテアーゼ / プロテアソーム / ユビキチン / ホヤ |
Research Abstract |
精子ユビキチン-プロテアソームシステムは、マボヤの卵黄膜に精子通過口を開けるライシンとして機能する事を見出し、すでに報告している。実際に、精子活性化(精子反応)後の上清に、卵黄膜成分HrVC70をユビキチン化する酵素が存在し、受精時にHrVC70が特異的にユビキチン化され、精子細胞膜表面のプロテアソームによって分解されることも報告している。しかし、この分解系は一般に細胞内で機能するものであり、プロテアソームがどのようにして細胞膜表面に輸送されるのかは不明である。そこで本研究では、この点を解明することを目的として、「精子プロテアソームに特異的な構造上の特徴が、細胞膜表面への輸送シグナルとなっているのではないか」との仮説をたて、その可能性について検討した。すなわち、マボヤの精子、卵、筋肉から20Sプロテアソームを精製し、その構成サブユニットを二次元電気泳動により解析し比較検討した。その結果、分子量の最も大きなαサブユニットが、各臓器によって移動度が異なることを見出した。このサブユニットのスポットを切り出し、トリプシン消化後LC/MC/MS分析を行なうことにより、その同定を行なった。その結果、このサブユニットはα6サブユニットであること、また精子プロテアソームのα6だけが、C末端から16残基切断除去されていることが判明した。ショウジョウバエでは、α6にはパラログ遺伝子が存在し、精子形成時にそのサブユニット(α6t)が高発現して置き換わると報告されている。ホヤを初めとする新口動物では、α6のパラログ遺伝子の存在は知られていないが、サブユニットのC末端の特異的プロセシングによってその機能を果たしているのかもしれない。ここで新たに露出するC末端配列が、細胞外への輸送シグナルになっている可能性が考えられる。本研究は、精子プロテアソームの新しい輸送機構を探る上での足掛かりとなるものであり、非常に重要な第一歩であると考えている。
|
Research Products
(21 results)