2011 Fiscal Year Annual Research Report
精子ユビキチンープロテアソーム系の構造特性と生殖における役割
Project/Area Number |
21390019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 均 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60158946)
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Keywords | 受精 / ユビキチン / プロテアソーム / 精子 / プロテアーゼ / 卵 / ホヤ |
Research Abstract |
我々は、精子と卵の大量入手が可能で受精実験の容易なマボヤを材料とし、受精に関与する精子プロテアーゼの研究を行っている。その研究過程で、プロテアソーム阻害剤のみならず、抗プロテアソーム抗体や抗マルチユビキチン鎖抗体もマボヤの受精を阻害する事を見出した。また、卵外被主要タンパク質であるHrVC70は受精時にユビキチン化され、精子プロテアソームによって分解されることも示され、受精の場においては、精子プロテアソームが細胞外に輸送され、それが卵外被成分をユビキチン依存的に分解するのではないか、と考えるようになった。同様の結果はウニでも観察された。また、米国の研究者は哺乳類においても同様の現象が見られる事を報告している。しかし、プロテアソームを先体胞や細胞外に輸送する機構は未だに謎である。我々は、精子プロテアソームの構造にその秘密があると考え、マボヤ精子からプロテアソームを精製し、マボヤの筋肉と卵由来のプロテアソームと構造を比較した。その結果、α6サブユニットの分子量が顕著に異なる事を見出した。そして、精子プロテアソームにおいては、α6サブユニットのC末端16残基が切断されていることをLC/MS解析により明らかにした。その切断部位近傍の配列は、マボヤとカタユウレイボヤで保存されている。そこで、カタユウレイボヤを用いて精子プロテアソームのα6サブユニットを解析したところ、分子量的に同様の低分子化現象が確認されたことから、カタユウレイボヤにおいてもα6のプロセシングが起こっていると考えている。これが、先体胞や細胞外への輸送のシグナルになっているのではないかと考え、現在、その新たに出現するC末端領域と相互作用するタンパク質をさまざまなアプローチにより解析中である。これが判れば、ユビキチン-プロテアソーム系の細胞外での機能と輸送経路に関する理解が深まると期待される。
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Research Products
(32 results)