2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規なBmpアンタゴニストの脳神経組織形成における役割とその分子メカニズムの解明
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21390020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 信行 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10110610)
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Keywords | 分泌性因子 / 形態形成 / 遺伝子 / ゼブラフィッシュ / マウス |
Research Abstract |
申請者は新規な分泌性BMP antagonist遺云子を発見し、Brorin, Brorin-likeと名付けた。これはヒト、マウス、ゼブラフィッシュなどで見出され、脊椎動物に共通した遺伝子である。Brorin, Brorin-likeはマウスの胎児の脳神経組織に特異的に発現し、培養神経前駆細胞のneurogenesisを促進する。従って、申請者は今年度はBrorinの生理的役割をzebrafishとマウスを用いて検討した。 Zebrafish Brorinは受精後16時間から腹側視床において発現が認められ、受精後24時間では神経線維束である前交連や、後脳の神経節、松果体、下垂体など脳神経系特異的に発現していた。その発現は受精後36時間胚においても持続していた。Brorin機能阻害胚の形態観察を行った。前脳の萎縮および脳室の膨張、形態の異常、各領域の境界の不明瞭化などの脳の形成異常が認められた。また、Brorinは間脳腹側の特性決定に関与していることが明らかとなった。前脳は終脳及び間脳から成り、膨大な数の神経細胞から構成されている。例えば、GABA作動性ニューロンは終脳腹側及び腹側視床から、オリゴデンドロサイトは終脳腹側及び腹側視床、背側視床から産出される。Brorin機能阻害胚の解析からBrorinはGABA作動性ニューロン及びオリゴデンドロサイトの分化に関与していることが示唆された。 マウス胎児期ではBrorinは脳・神経系に加え腎臓、舌において発現していた。マウスにおける、Brorinの生理的役割を明らかにするため、Brorin遺伝子欠損マウスを作成した。Brorin遺伝子欠損マウスは野生型マウスと外見上に大きな差はなく、繁殖能力にも異常はなかった。Brorinは脳で高発現していることから、野生型マウスとBrorin KOマウスの脳の組織形態を比較した。Brorin KOマウスの脳の形態に大きな差はなかった。また、Brorin KOマウスに行動的異常は認められない。
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Research Products
(2 results)