2010 Fiscal Year Annual Research Report
遊離脂肪酸受容体GPR120の生理・病態機能の解明と創薬に関する研究
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21390021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平澤 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70242633)
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Keywords | GPCR / GPR120 / フローサイトメーター / ゲノム創薬科学 |
Research Abstract |
研究代表者は、オーファンGタンパク質共役型受容体GPR120について、そのリガンドが長鎖不飽和脂肪酸であること、さらに、腸管、脂肪に発現し代謝調節に重要な生理機能を担っていることを見出した。GPR120の代謝調節機構の詳細を解明する目的で、特異的に作用するプローブ化合物の探索と、その化合物を用いた薬理学的な解析、GPR120遺伝子欠損マウスの作成と表現型の解析を進めている。リガンドが類似する脂肪酸受容体GPR40と比較してGPR120に対して選択性を有するアゴニストとしてNCG21、パーシャルアゴニストとしてgrifolic acidを見出した。特異的なプローブの開発に関しては、GPR120とGPR40それぞれに関してコンピュータ上での、受容体タンパク質のホモロジーモデリングによる構造と各種化合物のドッキング計算により、親和性の高い化合物、さらには選択性を有する化合物の予測手法の確立に成功した。また、受容体に変異を導入し、化合物との結合を検討することでこの相互作用のモデルを検証した。さらに、GPR40およびGPR120それぞれに高い選択性を有する化合物の探索にも成功した。遺伝子欠損マウスを用いた生理機能の解析に関しては、GPR120遺伝子欠損マウスを用いて詳細な解析を行った。GPR120遺伝子欠損マウスは通常食給餌下で、野生型と比較して差は認められなかったが、高脂肪食負荷により、肥満、脂肪細胞の肥大および脂肪肝を呈した。マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現プロファイリング解析により、脂質代謝及び糖代謝の異常が、脂肪や肝臓に於けるインスリンシグナル関連遺伝子群、脂質合成酵素群の発現の変化に依るものと推定された。これらの結果から、GPR120が全身における脂質、糖代謝に重要な役割を担っていることが個体レベルでも示された。
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Research Products
(6 results)