2011 Fiscal Year Annual Research Report
遊離脂肪酸受容体GPR120の生理・病態機能の解明と創薬に関する研究
Project/Area Number |
21390021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平澤 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70242633)
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Keywords | GPCR / GPR120 / フローサイトメーター / ゲノム創薬科学 |
Research Abstract |
今年度、本研究課題での目的とした「GPR120の病態における機能の解明」について、GPR120が食事性肥満に関与するという重要な発見が得られた。研究者らは、GPR120遺伝子欠損マウスは通常食給餌下で、高脂肪食負荷により、肥満、脂肪細胞の肥大および脂肪肝を呈すことを発見しており、マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現プロファイリング解析により、脂質代謝及び糖代謝の異常が脂肪や肝臓に於けるインスリンシグナル関連遺伝子群、脂質合成酵素群の発現の変化に依るものと推定している。本年度は、フランスを中心とする欧州のゲノム解析センターと共同で、欧州の約2万人の肥満患者を対象とし、この脂肪酸センサー分子GPR120の肥満患者に於けるゲノム解析研究を行った。遺伝子を解析した結果として、GPR120欠損マウスの高脂肪食負荷により肥満、糖尿病、脂肪肝の代謝異常を発症し、これが脂肪組織における分化の抑制と、脂肪酸合成の低下によることを明らかにした。また、GPR120のSNPs解析の結果、ヨーロッパ人において1.3~3%見られるR270H型が、肥満と強く相関すること、R270H型受容体タンパク質がリガンド刺激による細胞内Ca^<2+>シグナル伝達が起こさないことを見出した。以上の研究より、GPR120は食事性の脂肪のセンサーとして、食事性の肥満に強く関与することが明らかになった。また、「GPR120受容体を標的とする治療薬創成への応用」の足がかりとして、GPR120-リガンド間相互作用のin silico予測システム、GPR120を含む脂肪酸受容体特異的蛍光プローブと、これを用いた相互作用の解析系、さらにはハイスループットスクリーニング系を確立し、GPR120とリガンド間の相互作用を解明すると共に、選択的にGPR120を活性化する新規化合物を得た。
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Research Products
(6 results)