2009 Fiscal Year Annual Research Report
トリップチャネルの神経・グリア連関における病態生理的役割の解明
Project/Area Number |
21390022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (30303845)
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 助教 (50402798)
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Keywords | TRPチャネル / 中枢神経系 / 神経変性疾患 / カルシウム動態 / 神経細胞 / アストロサイト / ミクログリア |
Research Abstract |
中枢神経変性疾患の根本的治療薬は数えるほどしかなく,分子病理解明と新しい治療標的の探索は重要な薬学的課題である。我々も含めたこれまでの多くの研究から、神経変性にはそれ自体で起こる異常だけでなく、神経機能を支えているグリア細胞の機能異常が深く関与することが明らかになっている。そこでそれらの分子メカニズムを明らかにするために、神経細胞および各グリア細胞で特異的に発現するトリップ(TRP)チャネルに焦点を当て検討を行い以下の結果を得た。1、TRPC3が培養アストロサイトにおいてthrombin処置によりupregulationすることから、in vivoにおいても検討を行った。マウス脳実質内にthrombin受容体であるPAR-1のアゴニストペプチドSFLLR-NH2を注入すると、アストロサイトの増殖が起こり、その増加したアストロサイトはTRPC3を新たに発現していた。前年の結果もあわせると、TRPC3はアストロサイト活性化において重要な病態生理学的役割を果たしていることが明らかとなった。2、脳内に強い発現が認められるTRPM2のノックアウトマウスを用いて脳虚血傷害における役割について検討した。一過性中大脳動脈閉塞を施したところ、野生型と比較してノックアウトマウスでは虚血負荷48時間後における神経学的症状の増悪および梗塞巣の形成が有意に抑制された。詳細な機序については引き続き検討中である。3、TRPM2はミクログリアに発現していることが示唆されているため、活性化ミクログリアにおける一酸化窒素(NO)遊離における役割について検討したところ、TRPM2ノックアウトマウス由来ミクログリアではNOの遊離が減弱していることが明らかになった。詳細な機序については引き続き検討中である。
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Research Products
(12 results)