2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390030
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40293302)
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Keywords | α-トリフルオロメチルケトン / 脱炭酸反応 / アリル化 / パラジウム / 触媒反応 |
Research Abstract |
α-トリフルオロメチルケトン類はその特徴的な物理的、生物学的性質から医薬、農薬分野においても興味の持たれる化合物である。しかしその効率的な合成法については研究が進んでおらず,そのほとんどがヨウ化トリフルオロメタンを用いる直接的なラジカル反応による合成法であり,基質の活性化や反応試薬を当量数以上必要とする等の問題点が存在している。そこで我々は直接的な方法ではなく,脱炭酸機構を経る間接的な方法によってα-トリフルオロメチルケトン類の効率的な合成法を確立すべく研究を行った。当該年度においては,求電子的トリフルオロメチル化試薬を用いて合成したα-トリフルオロメチル-β-ケトカルボン酸アリルエステルに対し,パラジウム錯体を触媒とする脱炭酸アリル化反応を用いることによって,α-トリフルオロメチルケトンを合成することに成功した。種々検討を行ったところパラジウム種としてはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム,配位子としてはリン配位子である1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを用いたときに最も良い収率にて生成物を得た。通常,トリフルオロメチル基が置換している炭素上にアニオンを発生させると,速やかにβ脱離がおこりジフルオロアルケンとなってしまうが,本反応においてはその様な現象は見られず,最大99%の収率にてα-トリフルオロメチルケトンが合成できる。本手法は基暫一般性良く,インダノン骨格テトラロン骨格鎖状のいずれのβ-ケトエステルをもちいても収率よく生成物が得られ,ベンズスベロン骨格や芳香環をもたないシクロペンタノン骨格をもつような基質に対しても反応が進行する。本研究の成果によりこれまで合成の困難であったα-トリフルオロメチルケトンが効率的に合成できるようになった。
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Research Products
(73 results)