2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390030
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40293302)
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Keywords | フッ素 / 不斉導入 / 有機触媒 / トリフルオロメチル / モノフルオロメチル / 医薬品 |
Research Abstract |
創薬を志向した官能基導入法として,特に今回我々はトリフルオロメチル基及びモノフルオロメチル基に着目し,その不斉導入法の開発に成功した。 フッ素原子を含む天然由来の化合物は現在12種知られているだけであり,フッ素原子を標的化合物に組み込むことは特異性の付与に他ならない。この様な観点からフッ素官能基は積極的に利用され,その生理活性の発現・増強の実績から,医・農薬品の創製における効果的な戦略の一つとしての地位をすでに確立しており,その簡便な導入法の開発が強く望まれている。そこで今回我々は,高度に官能基化された有用な合成素子で知られるMorita-Baylis-Hillman(MBH)adductsに対するアリル位選択的不斉フルオロアルキル化反応を開発することとした。すなわち有機触媒存在下,MBH adductsに対し,強力な求核的トリフルオロメチル化試薬であるRuppert's試薬(Me_3SiCF_3)または当研究室で開発した求核的モノフルオロメチル化試薬であるFluorobis(phenylsulfonyl)methane(FBSM)を作用させ,S_N2'/S_N2'を介した機構でのアリル位へのエナンチオ選択的フッ素官能基導入法の開発を試みた。種々検討した結果,触媒としてビスシンコナアルカロイドを用いた際に高いエナンチオ選択性で目的物を得られることを見出した。またモノフルオロメチル化においては,添加剤としてFeCl_2またはTi(O_1Pr)_4を添加した条件においてさらなるエナンチオ選択性と収率の改善が見られ,最高97%eeにて目的物を得ることに成功し,高い評価を得ている。本反応で得られた化合物はいずれも多数の官能基を有しており,さらに本基質をビルディングブロックとして種々の医薬品候補化合物へと誘導することが可能である。
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Research Products
(94 results)