2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390054
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359)
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Keywords | 糖尿病合併症 / 骨髄顆粒球 / 細胞融合 / イマチニブ / TNFα |
Research Abstract |
1.糖尿病性臓器障害の原因となる骨髄細胞の特定 STZ糖尿病およびHFD糖尿病モデル動物の骨髄細胞を単離し、MACS,FACSで造血細胞の分化の課程で得られる各lineageの細胞集団を分収した。H21年度の研究で、糖尿病性臓器障害の原因となる細胞はTNFαとProinsulinを同時に産生することが分かったので、H22年度の研究では、分収骨髄細胞でTNFαとinsulin遺伝子の発現をRT-PCRで調べた。その結果、臓器細胞と細胞融合を起こして臓器障害に導く細胞は、顆粒球系のlineageに属することがわかった。 2.異常顆粒球系細胞の除去による糖尿病合併症の改善 慢性骨髄性白血病の治療薬であるイマチニブは、骨髄の顆粒球系細胞を抑制することが知られている。糖尿病性臓器障害が骨髄顆粒球系細胞の異常で起こるとすれば、イマチニブで糖尿病合併症が軽減すると考えられる。われわれは、STZ糖尿病モデルとHFD糖尿病モデルにイマチニブを2ヶ月間経口投与し、臓器障害が改善されるかどうかを形態学的、分子生物学的に詳細に調べた。イマチニブの投与で肝臓における異常骨髄由来細胞が減少し、TNFαの産生が有意に抑制された。また、腎臓においても、TNFαの産生が有意に抑制された。同様に骨髄においてもTNFα産生細胞が減少した。この結果は、糖尿病合併症の治療戦略を考える上できわめて重要なデータを提供するものである。
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