2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390054
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359)
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Keywords | 糖尿病 / 臓器障害 / 骨髄幹細胞 / 細胞融合 / 骨髄ニッチ / 腎障害 |
Research Abstract |
本研究では、骨髄幹細胞の異常が糖尿病でおこる多臓器障害の原因であることを突き止めた。特に糖尿病性腎症においては、骨髄由来細胞が腎尿細管上皮と細胞融合を起こすことで相手の細胞をアポトーシスに導くことが腎障害の原因であることを突き止めた。平成23年度研究では、糖尿病状態で末梢臓器と細胞融合を引きおこす骨髄由来細胞の異常が、骨髄における骨芽細胞ニッチの異常が原因であるとの仮説のもとに研究を行った。骨髄における骨芽細胞ニッチは、造血幹細胞の分化・増殖を制御しており、骨芽細胞ニッチが異常になると造血幹細胞の分化異常を来たすことが知られていた。われわれは、糖尿病と非糖尿病マウスの骨髄から、骨芽細胞ニッチと造血幹細胞ニッチをFACSで単離し、発現蛋白の異常を分子生物学的に解析した。その結果、糖尿病では骨芽細胞ニッチと造血幹細胞の数が減少した。さらに、骨芽細胞ニッチの異常としては、β1-integrin, β-catenin, Angiopoietin-1, CXCL12の低下を認め、造血幹細胞の異常としては、N-cadherin, β-catenin, Tie2, LRP6の低下を認めた。次に骨芽細胞ニッチと造血幹細胞の共培養を行い、これら糖尿病で生じる骨髄幹細胞異常が培養条件を変えることで回復させうるかどうかを検討した。その結果、糖尿病で生じる造血幹細胞の異常は、正常な骨芽細胞ニッチと共培養することで回復させうることが判明した。この結果は、糖尿病合併症の治療戦略を考える上できわめて重要な発見で、骨髄ニッチ細胞の入れ替えで糖尿病合併症を治癒に導くことが出来ることを示唆するものである。
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