2011 Fiscal Year Annual Research Report
塩素イオンチャネルのSLC26A7と26A9による新規細胞防御機構の解明
Project/Area Number |
21390056
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (60242509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 孫俊 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60019130)
清水 貴浩 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (40353437)
藤井 拓人 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (50567980)
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Keywords | 胃酸分泌細胞 / イオンチャネル / トランスポーター / 細胞防御 / 塩素イオン / SLC26A7 / SLC26A9 |
Research Abstract |
本年度は、まず、SLC26A7が胃酸分泌細胞基底側膜の細胞防御Crチャネルの分子実体である可能性を検証するため、SLC26A7ノックアウトマウス(KO)と野生型マウス(WT)より、胃腺を単離し、胃酸分泌細胞のホールセルCl一電流ならびに静止膜電位をパッチクランプ法により測定した。Cl電流は、KOの方がWTより有意に小さく、膜電位はKOがWTに比べて有意に浅かったが、KOの細胞において、C1一由来成分の完全な消失は認められなかった。したがってSLC26A7は、細胞防御Cr^-チャネルと連関して機能する調節分子であり、胃酸分泌細胞の細胞防御機構に重要な役割を果たしていることが示唆された。そこでマウスにエタノールを経口投与し、胃粘膜傷害に対する効果を調べたところ、KOの傷害スコアがWTよりも高い傾向にあり、詳細な検討を行っている。 他方、胃酸分泌細胞アピカル膜に発現するSLC26A9の機能を検討した。SLC26A9発現Cos-7細胞において、細胞外溶液の浸透圧を高張(400-500mOsm)にすると、SLC26A9によるCr電流は有意に減少したが、低張(270mOsm)にしてもCl^-電流は変化しなかった。このような性質を有するチャネルの報告例はこれまでになく、SLC26A9は胃酸分泌細胞管腔側が高張になった際に、イオン流出を制御し、細胞容積を調節しているものと考えられた。また、SLC26A9の各種点変異体を作製し、Crチャネル機能発現に必須の部位を検討したところ、V397K変異体(SO_4^<2-> トランスポーター機能を有するSLC26Aファミリーのアミノ酸残基に置換)において、Cl^-電流が消失した。したがって397番目のバリン残基が、SLC26Aのチャネルとトランスポーター機能の差異決定に関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(18 results)