2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390063
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三谷 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90192757)
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Keywords | 線虫 / RNA干渉 / SID-1 / RNAi伝播 |
Research Abstract |
RNA干渉(RNAi)は、今現在、広く生命科学研究に使用されている遺伝子機能阻害技術の1つである。RNAiは最初に線虫でその現象が発見された時より、組織・細胞間を伝播することが明らかになっており、その際には、SID-1という膜蛋白質が必要であることが知られている。この分子は、高等生物にもホモログが存在しており、高等生物でマイクロRNAが細胞間を伝播することが類似の現象の可能性がある。哺乳類細胞へのsiRNAの導入効率を上げるために、SID-1を含んだRNAの取り込み機構の分子メカニズムの解明を行うことを目的とした。また、siRNAが細胞から放出されることも必要であり、その現象の分子機構の解析も行うこととした。線虫個体を用いて、feeding RNAi(餌に二本鎖RNAを発現する大腸菌を供する)を行うと、標的遺伝子の機能阻害の表現型を得ることができる。我々は、エンドサイトーシスに関わる分子VPS-45で非常に弱いRNAi伝播の現弱が見られたことから、これがSID-1と何らかの関わりを持っていると考えた。しかし、表現型が弱く、再現性が低いことから、表現型エンハンサーとなる遺伝子を探索した。VPS-45変異体にGON-1メタロプロテアーゼのfeeding RNAiを作用させると、ほとんど効果がみられず、個体は比較的健康である。一方、gon-1;vps-45二重変異体は極めて病的であり、gon-1がvps-45と共同して、RNAi伝播に関わる可能性が示唆された。GON-1の機能を解析したところ、積荷に種類によらず、体壁筋とdistal tip cellでの分泌に必須の分子であることが明らかになった。細胞への取り込みと細胞からの放出について、一層の解析を続ける予定である。また、エンドサイトーシスに関わる新規分子の単独変異で、RNAi伝播が起こらなくなるものを見出した(投稿準備中)。
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