2009 Fiscal Year Annual Research Report
PKCの機能破綻により発症する神経変性疾患モデル動物作製と解析および創薬への応用
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21390070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 尚亮 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 康仁 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 准教授 (60263399)
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Keywords | プロテインキナーゼC / 脊髄小脳変性症 / 神経変性 / カルシウム / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
本研究ではPKCγの機能破綻による2つの疾患(1)小脳脊髄変性症、(2)パーキンソン病に焦点を当て、1)これら疾患発症におけるPKCγの役割、発症メカニズムを明らかにするとともに、2)(1)(2)疾患のモデルマウスを作製することを目的として行った。 本年度は、PKCγに着目し、SCA14の発症メカニズムに関する細胞レベルでの検討およびパーキンソン病の発症メカニズムに関する細胞レベル・個体レベルでの検討を行った。 その結果、(1)SCA14に見られた変異型PKCγを過剰発現させると、繊維芽細胞、神経由来培養細胞、培養小脳プルキンエ細胞内で凝集体を形成し、その凝集には、PKCγのC1ドメインおよびキナーゼドメインの相互の結合が関与することを示した。またこの凝集体を電子顕微鏡下で観察するとアミロイド繊維上の凝集を形成していることが明らかとなった。さらにこの凝集はシャペロンであるHsp70の発現により、その形成が抑制された。また、SCA14モデルマウスでは、生後1年以上で、プルキンエ細胞内に凝集体を持つようになった。これらの所見はSCA14発症メカニズムを解明する点、また治療薬の標的を見出す観点において非常に重要と考えられる。 (2)PKCγノックアウトマウスでは、明らかにメタアンフェタミンによるドパミン遊離が抑制され、12ヵ月後には黒質のドパミン細胞数が有意に減少していた。これらの所見は、パーキンソン病モデルラットであるAS/AGUラットの所見と極めて似ていた。しかしながら、ノックアウトマウスではドパミン含量、ドパミン代謝物の変化は認められなかった。PKCγの機能低下がパーキンソン病発症に関与する可能性が示された。
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Research Products
(10 results)