2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオカインHMGB1由来ペプチドの脳血管透過性亢進作用の機序解明
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21390071
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
劉 克約 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
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Keywords | HMGB1 / 脳血管透過性 / 脳浮腫 |
Research Abstract |
前年度に見出した、HMGB1由来のペプチドの性質をさらに明らかにするために、HMGB1の受容体の一つであるReceptor for advanced glycation endproduct (RAGE)と、もう一つ別のリガンドであるAdvanced glycation endproduct(ウシ血清アルブミンの最終糖化産物)の試験管内結合実験系を構築し、それに対するHMGB1由来のペプチドの効果について検討した。 その結果、AGE-可用性RAGE結合を促進する2つのペプチドとAGE-可用性RAGE結合を阻害する一つのペプチドを同定した。個々のペプチドの作用は、AGE1,AGE2,AGE3,AGE4,AGE5いずれのリガンドを用いた場合も共通していた。AGE-可用性RAGE結合を阻害したペプチドは、低血圧状態を惹起し、中大脳動脈閉塞・再灌流によるラット脳梗塞を増悪したペプチドと一致した。 ラット脳血管内皮細胞、血管周皮細胞、アストログリア細胞からなるin vitro血液-脳関門培養系(BBB)を用いて、血管透過性に対するHMGB1の効果を検討した。このin vitro BBB実験系において、組換え体HMGB1は、濃度依存的に血管透過性を亢進させ、電気抵抗を低下させることが明らかとなった。HMGB1のC末端配列を認識する単クローン抗体を予め組換え体HMGB1とともにプレインキュベーションしておくと、HMGB1の血管透過性亢進作用ならびに電気抵抗減弱作用は抑制された。血管内皮細胞と周皮細胞に収縮性の変化が認められ、細胞間隙の形成が生じていた。以上の結果から、in vivoで観察されたHMGB1による脳血管の透過性亢進は、HMGB1が脳血管内皮細胞と周皮細胞に直接作用した結果であることが強く示唆された。
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