2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の増殖と分化を相反的に制御する分子実体の解明
Project/Area Number |
21390079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 敏一 Osaka University, 先端科学イノベーションセンター, 特任教授 (00049397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 一弘 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 招聘准教授 (90379264)
岡 清正 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 特任助教 (70314474)
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Keywords | 成熟肝細胞 / TDO / 細胞密度依存性 / 最終分化 / c-Met / HGFレセプター / LAR |
Research Abstract |
成熟肝細胞の増殖能と分化機能は、細胞密度に依存して相反的に変化することが分かっている。 (1)LARの細胞密度依存的な活性化機構の解析 肝細胞の増殖は細胞密度に依存しており、高細胞密度の培養条件下では肝細胞増殖因子(HGF)刺激を加えても細胞増殖は起こらない。この現象は、生体内で臓器恒常性の維持のための重要な分子機構であると言える。我々は、高細胞密度ではc-Met/HGFレセプターのリン酸化が持続せず、LARによって脱リン酸化されることを明らかにしてきた。LARは細胞密度に関係なく発現しているが、その活性化は高細胞密度培養下でHGF刺激に依存して引き起こされる。そこでLAR活性化機構を解析したところ、LARはFurin様プロテアーゼによってsheddingされて活性化することが明らかになった。 (2)TDOの発現誘導機構の解析 TDOは成熟肝細胞で強く発現しており肝細胞の最終分化マーカーとされている。さらに、TDOの発現は細胞密度が高まるほど強く誘導されることが知られている。TDOの発現調節機構を解析するため、TDOプロモーター制御下でEGFPを発現するトランスジェニックマウスを作製した。その結果、TDO遺伝子の5'上流約22kbpの範囲のうち、-10kbpから-22kbpの領域がTDOの肝臓特異的発現に重要であることが明らかになっている。この領域をさらに詳細に解析したところ、ヒト、マウス、ラット種間で保存されている領域を見出した。現在、ChIP assayとcircular chromosome conformation capture(4C)法により、染色体構造とTDO遺伝子発現制御の相関性について解析を行っている。
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