2010 Fiscal Year Annual Research Report
TRIM型ユビキチンリガーゼ介在性癌化制御の網羅的解析
Project/Area Number |
21390087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 鎮次 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70294973)
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Keywords | ユビキチン / TRIMファミリー / 癌化 / アンドロゲン / 細胞周期 / 神経発生 / クロマチン / 前立腺癌 |
Research Abstract |
本申請ではこれまで分子生物学的手法で同定されたTRIMファミリータンパク質と癌化との関係に焦点を当て、細胞レベル及び個体レベル(マウス及びヒト疾患サンプル)での解析を進めることを目的としている。現在までに、多くのTRIMタンパク質におけるE3活性を証明し、特にTRIM25(EFP)がエストロゲン受容体と相互作用し、エストロゲン依存性転写活性化を制御することを明らかにし、TRIM型E3のいくつかの酵素は特に転写制御系に関与する可能性を示した。現在、TRIM68に関してはノックアウトマウスを作製したところであり、アンドロゲンの制御を受ける器官への影響を解析中である。さらに、TRIM36が染色体のキネトコアに関与することを示し、細胞周期制御に影響を与えることを示した。また、TRIM31が消化管特異的発現をし、Shcを相互作用することで足場依存性増殖に影響をもたらすことを報告した。その他にTRIM24がアンドロゲン受容体依存性の転写活性に影響をもたらすことを示した。さらに、Jak-Statシグナルに重要なPIAS3の制御分子としてのTRIM8の機能を明らかにした。また、神経特異的発現をする新規のTRIMファミリー遺伝子を同定し、神経の発生に影響を与えるか否かを検討中であり、さらに個体レベルでの解析を進めるためにノックアウトマウスを作製したところである。 本研究計画により、クロマチン構造制御分子やステロイドホルモン受容体の分子としての物性が明らかになり、転写因子複合体やクロマチン構造制御複合体の制御においてまだブラックボックスであるユビキチン化機序の分子論的解明が進むことが予想される。特に癌の中には乳癌、卵巣癌、前立腺癌のようにホルモン依存性に増殖を示すものが知られているので、本申請研究はこれらの癌に対する治療法のために重要な情報をもたらす可能性がある。
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