2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答キナーゼMTK1による細胞死、細胞増殖制御機構と癌におけるその異常
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21390090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武川 睦寛 Nagoya University, 環境医学研究所, 教授 (30322332)
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ストレス応答MAPK情報伝達経路は、様々な環境ストレス刺激によって活性化され、細胞周期停止やアポトーシス、免疫応答の制御に中心的な役割を果たしている。また、この経路の異常が癌や自己免疫疾患の発症に深く関与する証拠が蓄積されている。しかしながらストレス応答経路の活性制御機構には不明な点が多く残されており、その解明は癌の病因、病態の理解、および新規治療法開発の観点からも必要不可欠である。申請者は、これまでにストレス応答MAPK経路の主要なヒトMAPKKKであるMTK1をクローニングし、さらに、MTK1の制御ドメインに結合して、活性化因子として機能する3つのGADD45関連分子を同定してきた。本研究においては、GADD45-MTK1経路による細胞増殖制御機構の解明を目的として研究を行った。その結果まず、ストレス応答MAPKKKであるMTK1がストレス刺激のみならず増殖刺激によっても強く活性化されることを見出し、更に増殖因子によるMTK1活性化の分子機作を明らかにした。また、細胞周期制御におけるMTK1の役割を詳細に解析した結果、MTK1の活性化によって、特定のサイクリンの発現が有意に抑制され、その結果細胞増殖が阻害される事を見出した。また、MTK1によるサイクリンの発現抑制機構として、MTK1依存的なサイクリンのリン酸化とユビキチン分解が関与する事を見出した。
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