2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答キナーゼMTK1による細胞死、細胞増殖制御機構と癌におけるその異常
Project/Area Number |
21390090
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武川 睦寛 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30322332)
|
Keywords | シグナル伝達 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ストレス応答MAPK情報伝達経路は、様々な環境ストレス刺激によって活性化され、細胞周期停止やアポトーシス、免疫応答の制御に中心的な役割を果たしている。また、この経路の異常が癌や自己免疫疾患の発症に深く関与する証拠が蓄積されている。しかしながらストレス応答経路の活性制御機構には不明な点が多く残されており、その解明は癌の病因、病態の理解、および新規治療法開発の観点からも必要不可欠である。申請者は、これまでにストレス応答MAPK経路の主要なヒトMAPKKKであるMTK1をクローニングし、さらにMTK1の制御ドメインに結合して、活性化因子として機能する3つのGADD45関連分子を同定してきた。本研究では、GADD45-MTK1経路による細胞増殖制御機構の解明を目的とし、MTK1と細胞内で特異的に結合して複合体を形成する蛋白質分子のスクリーニングを行った。その結果、新たなMTK1結合分子の候補として、細胞周期制御に重要であることが報告されている分子が得られた。In vivoの共沈実験により、実際にこの分子とMTK1がストレス刺激依存的に結合することが確かめられた。さらに生化学的解析を推し進め、MTK1がこの細胞周期制御分子をin vivoおよびin vitroで直接リン酸化することを見出した。また系統的な変異体を作成し、分子内でMTK1によってリン酸化されるアミノ酸残基を決定すると共に、同部位に対するリン酸化特異抗体を樹立することに成功した。これまでにMTK1によるリン酸化が、この分子の機能調節と細胞周期制御に寄与することを示す知見が得られている。
|