2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1のがん悪性化形質に果たす役割の解析
Project/Area Number |
21390091
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 博 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (00115239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝野 隆久 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (40322119)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 講師 (20334774)
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Keywords | MT1-MMP / HAI-1 / KIM-1 / 浸潤 / 転移 / 悪性化 / 細胞外マトリックス / 運動 |
Research Abstract |
膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MT1-MMP)の新規基質として膜タンパクに注目して検討を重ね、Hepatocyte Growth Factor Activator Inhibitor-1 (HAI-1)とKidney Injury Molecule-1 (KIM-1)を新たに同定した。HAI-1は主に膜型セリンプロテアーゼであるマトリプターゼの阻害因子であり、MT1-MMPによるHAI-1の切断・不活化はマトリプターゼを活性化し、マトリプターゼはさらにセリンプロテアーゼおよびMMPの活性化カスケイドを始動させることを見出した。また、このようなセリンプロテアーゼ・MMPカスケイドの活性化はがんの浸潤・転移など悪性化形質に大きく関わることを明らかにした。KIM-1は腎がん・腎障害に伴い尿中に排出され、腎の障害のマーカーとしての有用性が提唱されていたが、今回、初めてMT1-MMPによるKIM-1の切断・シェディングを証明した。さらにKIM-1が細胞接着に抑制的に働くことにより細胞機能を負に制御することを見出し、MT1-MMPによるKIM-1のシェディングが負の制御を解除し、浸潤性増殖・運動・転移などがんの悪性化を亢進することを明らかにした。 がん幹細胞のマーカーのひとつとして膜タンパクであるCD133が注目を集めている。グリオブラストーマ由来細胞株、およびグリオーマ手術材料から分離した細胞ではCD133とMT1-MMPの発現には正の相関関係が認められたが、両者の直接的な相互作用は確認されなかった。
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Research Products
(7 results)