2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化管上皮細胞のId2依存的な増殖分化制御の分子基盤
Project/Area Number |
21390092
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
横田 義史 福井大学, 医学部, 教授 (50222386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岡 尚徳 福井大学, 医学部, 准教授 (00293879)
森 健太郎 福井大学, 医学部, 助教 (50397296)
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Keywords | 消化管 / 上皮細胞 / 運命決定 / Id2 / 転写因子 / 遺伝子ネットワーク / 転写調節因子 |
Research Abstract |
(1)転写因子A、および、転写因子Bの胎仔小腸形過程における機能の解析 DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現プロファイリングにおいてId2欠損マウス胎仔腸管で発現レベルが亢進していた2つの転写因子(同じファミリーに属する。ここでは転写因子A、転写因子Bとする。)について、遺伝子改変マウスを用いて、消化管の領域特異的な運命決定への関与を検討した。転写因子A欠損マウスを入手し検討したが、転写因子A欠損マウス消化管の明瞭な形態学的異常は認めなかった。Id2/転写因子A複合欠損マウスを作成したが、複合欠損マウスにおいてId2欠損マウスでみられる小腸の異所性胃上皮組織も小腸腫瘍も消失しなかった。また、villinプロモーターを用いた転写因子Aのトランスジェニックマウスを作成したが、胎生期小腸における異所性の胃上皮組織の形成は認められなかった。現在、週齢の進んだマウスでも検討中である。一方、転写因子Bの欠損マウスも入手し消化管の構造を組織学的に検討したが、特に変異は認めなかった。 (2)胎生期消化管の発生過程に関わる遺伝子のId2欠損マウス胎仔消化管における発現解析 正常の形態形成過程にある消化管組織において領域特異的な発現様式を示す幾つかの転写因子についてin situ hybridization法を用いて野生型マウスとId2欠損マウスで発現様式の比較を行った。食道と胃に発現するPax9のId2欠損マウスでの異所性発現亢進は認めなかった。一方、食道と胃の上皮で発現するSox2およびFoxa2は、Id2欠損マウスで胎仔空腸肛門側において斑状の発現陽性領域を認めた。以上より、消化管の領域特異的な運命決定過程において、Sox2とFoxa2がId2の下流で機能している可能性が示唆された。
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