Research Abstract |
Rb不活性化によって誘導されるイソプレニル化の亢進によって活性化されたN-Rasと活性化型の突然変異の存在によって活性化されたN-Ras(Rb存在時)の機能的な差違を分子レベルで追うために,すでにVenusでタグをしたN-Rasに加え,N-RasV12にタグを付着するコンストラクトを作製した。また,Ral,JNK,ERK,AKTなど下流分子の活性化のされた方が,これらの異なるコンテクストで活性化されたN-Rasのあいだで如何に異なるかを追求している。つぎに,ヒト癌由来細胞株においてpRb-E2F-蛋白質イソプレニル化パスウェイが機能するかを検討するため,様々なRb欠損ヒト癌におけるpRb再構成時のイソプレニル化関連酵素群の転写活性の変化を観察し,複数の細胞株において,Rbとイソプレニル化関連酵素群転写活性の関連を確認した。プライマリーRb欠損N-ras-/-C細胞腺がんにおいてRhoA,Cdc42,Racの活性が有意に高いことを発見したので,これらの活性化状態がpRbに依存するかどうかを調べ陽性の結果を得た。更に,イソプレニル化を受けることがこれまでに報告されている他の蛋白質,Ras2,RhoB,C,E,Rac2,Rheb,TC10,21,Ra1A,Rap1A,1B,2,Rab8,11,13 and CENP-E,-Fのイソプレニル化の変動の観察を準備している。Rbによるイソプレニル化制御を受ける蛋白質とRb不活性化時の腫瘍の挙動に与える影響を探索し,ファルネシル化阻害剤が,Rb不活性腫瘍に対して治療効果を発揮するかどうか考察してゆく。
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