2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子を介した蛋白質ホメオスターシスの維持機構の解明
Project/Area Number |
21390095
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中井 彰 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60252516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 充章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359900)
瀧井 良祐 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00419558)
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Keywords | 蛋白質 / ホメオスタシス / 熱ショック蛋白質 / 転写因子 / 神経変性疾患 / マウス |
Research Abstract |
蛋白質ホメオスタシスの維持機構として重要なものの1つが熱ショック転写因子HSF1を介する熱ショック応答である。HSF1は蛋白質の変性を感知し、熱ショック蛋白質群を誘導することで蛋白質ホメオスタシスを維持しているが、近年、個体発生や老化、老化と関連した変性疾患、さらにがんなどに重要な役割を担っていることが分かってきた。その分子機構として、熱ショック蛋白質を介さない経路の存在が示唆されていた。我々は、HSF1ターゲット遺伝子の網羅的解析と、その機能スクリーニングにより、蛋白質ホメオスタシスに重要な新しい経路を明らかにした。 HSF1を高発現する細胞のDNAマイクロアレイ解析から29個の新たなHSF1のターゲット遺伝子を同定し、レトロウイルスを用いてマウス胎児線維芽細胞(MEF)に発現させた。異常に伸長されたポリグルタミン蛋白質(PolyQ)の凝集体形成に対する抑制能を形態学的、そして生化学的に調べたところ、8個の遺伝子群が単独で強い凝集体抑制活性を持つことが分かった。HSF1欠損MEFは野生型細胞に比較してpolyQ凝集体形成が2倍に増強されるが、新たに同定したいくつかのターゲット遺伝子群の発現が減少していた。これらの遺伝子群をHSF1欠損MEFで発現させると、polyQの凝集体は野生型と同程度に抑制された。その中で、転写因子NFATc2に焦点を絞って解析したところ、HSF1はその遺伝子発現を直接制御すること、HSF1の凝集体抑制活性にはNFATc2が必要であることがわかった。さらに、ハンチントン病モデルマウスR6/2をHSF1欠損マウス、あるいはNFATc2欠損マウスと交配させると神経細胞の凝集体形成が亢進し、寿命が劇的に短縮することがわかった。以上の結果から、HSF1-NFATc2経路が蛋白質ホメオスタシスに重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(27 results)