2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子を介した蛋白質ホメオスターシスの維持機構の解明
Project/Area Number |
21390095
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中井 彰 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60252516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 充章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359900)
瀧井 良祐 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00419558)
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Keywords | 蛋白質 / ホメオスタシス / 熱ショック蛋白質 / 転写因子 / 神経変性疾患 / マウス |
Research Abstract |
蛋白質ホメオスタシスの維持機構として重要なものの1つが熱ショック転写因子HSF1を介する熱ショック応答である。HSF1は蛋白質の変性を感知し、蛋白質フォールディングを介助する熱ショック蛋白質(HSP)群を誘導することで蛋白質ホメオスタシスを維持していることが知られている。近年、HSF1が、個体発生や老化、老化と関連した変性疾患、さらにがんなどに重要な役割を担っていることが分かってきており、その分子機構として、非HSP経路の存在が示唆されていた。我々は、HSF1ターゲット遺伝子の網羅的解析と、その機能スクリーニングにより、前年度までに、HSF1のターゲット遺伝子のうち、8個の遺伝子が異常に伸長されたポリグルタミン蛋白質(PolyQ)の凝集体形成に対する抑制効果を持つこと、そのうちの1つが転写因子NFATc2であることを明らかにした。さらに、NFATc2を欠損するハンチントン病モデルマウスR6/2の寿命は劇的に短いことから、HSF1-NFATc2経路が蛋白質ホメオスタシスに重要であることが明らかとなった。今回、この経路が制御する遺伝子群とその役割を解明した。 HSF1のターゲットで、なおかつ蛋白質凝集体形成の抑制効果を認める7つの遺伝子のうち、PDZK3とCRYAB遺伝子はNFATc2のターゲット遺伝子でもあることを明らかにした。それらの発現は、NFATc2高発現HeLa細胞で増加し、HSF1欠損MEF細胞で低下しており、HSF1とNFATc2の両方が存在することが誘導に必要であることが分った。PDZドメインを持つ蛋白質は、蛋白質分解の足場になりうること、CRYABはユビキチンリガーゼ複合体の1つであることなどが知られているが、PDZK3あるいはCRYABのノックダウンは、凝集体を形成するpolyQ蛋白質の分解を抑制することが分った。以上の結果は、HSF1-NFATc2経路が異常な構造をもつ蛋白質の分解を介して蛋白質ホメオスタシスを維持することを初めて示した。
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Research Products
(25 results)