2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390097
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20231798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 重元 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (00325333)
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Keywords | 活性酸素 / シグナル伝達 / 酸化ストレス / 8-nitro-cGMP / S-グアニル化 |
Research Abstract |
本研究課題では、酸化ストレスにより生成する8-nitro-cGMPなどのリガンドとそのセンサー(レセプター)蛋白質の機能制御機構を明らかにし、酸化ストレス適応応答と生体防御の分子基盤を解明することを目的とする。我々は、8-nito-cGMPが蛋白質のS-グアニル化という新規翻訳後修飾を起こすことを見いだし、さらに蛋白質S-グアニル化が酸化ストレス適応応答の重要なシグナル経路のひとつであることをすでに明らかしている。そこで本年度は、酸化ストレスのセンサー蛋白質の同定のために、プロテオミクスに基づいたS-グアニル化蛋白質の解析手法の確立と新規S-グアニル化蛋白質の同定を行った。まず、抗S-グアニル抗体を作成し、二次元電気泳動とウエスタンブロットによりS-グァニル化蛋白質を分離・同定することに成功した。さらに抗S-グアニルモノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティーにより、S-グアニル化蛋白質の酵素消化物からS-グアニル化ペプチドを効率的に精製・濃縮する手法を確立した。これらの手法と質量分析(LC-MS/MS)を組み合わせ、8-nito-cGMPやNO放出試薬などで処理をした培養細胞試料中のS-グアニル化蛋白質の解析を行い、複数の新規S-グァニル化蛋白質の同定、およびS-グアニル化を受けるシステイン残基の同定に成功した。今回確立したS-グアニル化蛋白質同定手法を用いて、さらに新規酸化ストレスセンサー蛋白質の検索を進めるとともに、今回同定した各蛋白質システイン残基のS-グアニル化が蛋白質機能に与える影響を解析することにより、酸化ストレス適応応答と生体防御の分子基盤の解明が大きく進展するものと考えられる。
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