2011 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β研究のがん診断、治療、予防への橋渡し研究
Project/Area Number |
21390115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20194855)
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Keywords | がん / TGF-β / TMEPAI / THG-1 / MafK / がん幹細胞 |
Research Abstract |
TMEPAIについては、肺がん細胞や頭頸部がん細胞でTMEPAIをノックダウンすると腫瘍形成能が低下することを示した。また、TMEPAIの転写制御領域に依存してGFPを発現する肺がん細胞を作製して、TMEPAIの発現程度の違いにより細胞をソーティングすることを可能にした。また、TMEPAIの種々の変異体を誘導的に発現する実験系も作製している。TMEPAIに続きファミリー分子であるCl8orflの機能解析とノックアウトマウスの作製も行った。抗TMEPAI抗体を作製し、ウエスタンブロッティング等でTMEPAIの発現を確認できることを示したが、これまでのところ免疫染色に使用できる抗体は得られていない。 THG-1は、皮膚がん、食道がん、子宮頸がん、肺がんなどの扁平上皮癌で特異的に過剰発現しており、腫瘍形成促進に関与していることを示した。また、特定の点変異により恒常的に活性化したTHG-1を発現しているがん組織もあることを確認した。さらに、THG-1はEGF/RAS/MAPKシグナルの下流でERKによってリン酸化され活性化することとリン酸化部位の変異体は、RASによる腫瘍形成誘導に優勢抑制的に作用することも明らかとなった。THG-1が結合するタンパク質の網羅的な解析も行い、現在、腫瘍化に関与する下流分子の同定を行っている。 MafKもTGF-βシグナルの標的として発現が亢進することを見いだしたが、MafKを乳腺上皮細胞株であるNMuMGに発現させるとEMTと腫瘍形成能を誘導することを見いだした。この作用は、ファミリー分子であるMafGにもみられたが、MafFには活性が認められなかった。また、MafKの発現は、乳がん細胞株で亢進しているものが多く、ノックダウンによって腫瘍形成能にどのような影響があるかを現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMEPAI,THG-1,MafKともに腫瘍形成に関与することを明確に示すことができ、この点では、計画以上に進展している。また、その作用機序に関する解析も順調に進んでいるが、TMEPAIとMafKでは、病理標本などで使用可能な抗体を得ることに成功しておらず、ヒトがん組織におけるこれらの分子の関与に関する研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
TMEPAI,THG-1,MafK(ともに作用機序に関する研究を進め、がん治療の分子標的となる可能性について検討する。特に、THG-1については、組織特異性も高いので、阻害剤のスクリーニング系の作製を進める。また、TMEPAIとMafK(に対する抗体は今後も作製を継続し、ヒトの病理標本で発現亢進の有無を解析できるようにする予定である。
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Research Products
(7 results)