2011 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染によるCD4陽性T細胞機能抑制の分子機序の解明
Project/Area Number |
21390125
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
由井 克之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90274638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50423637)
水崎 博文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40467957)
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Keywords | マラリア / 赤血球 / T細胞 / サイトカイン / 原虫 / 感染 / 免疫抑制 / マウス |
Research Abstract |
本研究は、マラリア感染に伴う免疫抑制・修飾機構の解明を目的として、マウスマラリア原虫Plasmodium bergheiの実験モデルを用いた基礎的研究である。マラリア原虫に感染したマウスCD4^+T細胞を抗原刺激すると、IL-2産生が著しく低下している。この低下は、CD4^+T細胞自身が産生する抑制性因子によるものであることをつきとめたので、平成23年度はこの抑制因子の本体の解明と抑制因子産生細胞の解析を目的として研究を推進した。 当初は、計画に従って抑制因子を含むT細胞の培養上清から生化学的手法により抑制因子を精製することを試みたが、技術的な様々な問題に直面して精製は困難を極めた。一方、発現遺伝子のアレイ解析も試みたが、それらしい遺伝子の同定には至らなかった。一方、既知の抑制性サイトカインとしてIL-10、TGF-β・IL-4・IFN-γなど候補になったが、抗体による中和実験では抑制性因子を含む培養上清の抑制活性を十分に中和することができず、これらの既知のサイトカインではないと考えられた。一方、その他のサイトカインでもIL-2産生を抑制する可能性のある分子について広く調べた結果、上記抑制因子の有力な候補となるサイトカインが明らかになった。このサイトカインX(名称は、今回非公表)の遺伝子ノックアウトマウスにP.bergheiを感染させて抑制因子産生を調べた所、培養上清中に抑制活性がみられず、このサイトカインXが抑制因子である可能性が極めて高くなった。現在最終的につめている段階である。抑制因子産生細胞については、CD4^+T細胞の様々な活性化マーカーで染色、ソーティングにより調べた結果から、CD45RB^+CD44^+のマラリア抗原特異的T細胞が産生することが示唆された。
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