2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌が産生するSubABトキシンの細胞障害機構の解明
Project/Area Number |
21390127
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野田 公俊 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60164703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70312840)
八尋 錦之助 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特任准教授 (80345024)
津々木 博康 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (40586608)
|
Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 受容体 / サブチラーゼサイトトキシン / BiP / ERストレス |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌(EHEC)が産生する新たな毒素Subtilase cytotoxin(SubAB)は、小胞体中に存在するシャペロン蛋白質Bipを分解し、その活性を阻害することによってERにストレスを起こし、細胞障害性を誘導すると考えられる。今年度は、1)HeLa細胞を用いてERストレスセンサー蛋白質(PERK,Ire1,ATF6)のいずれが細胞致死機構に関与するのかをsiRNAによる発現抑制による実験で明らかにした。結果、subABの細胞致死シグナル伝達はPERKの活性化に依存し、PERKの発現抑制により致死シグナル(Bcl-2ファミリーのBaxとBakの構造変化、ミトコンドリアの膜上でBax/Bakの会合体形成、チトクロームcの放出、次いで、下流のcaspaseを活性化しカスパーゼの活性化)、を抑制した。同様の結果がマウスのMEF細胞を用いた場合にも認められた。更に、PERKの下流のEIF2αのリン酸化によるタンパク合成阻害が細胞死に密接に関わっていることが明らかとなった。この際、Bax/Bakの構造変化に必須な因子がユビキチン・プロテアソーム系で分解されアポトーシスシグナルが活性化すると推察された。2)Bip切断によるERストレスがLPS誘導による一酸化窒素(NO)の合成誘導を阻害することが明らかとなった。詳細にシグナル伝達機構を解析した所、LPS誘導性のNF-kBの活性化をSubABは抑制しており、これがNO合成酵素iNOSの転写を抑制することによることが解った。これらの成果はEHEC感染症におけるSubABの役割を理解する上で非常に重要な知見であり、予防・治療等に新たな道を拓く事にもつながるものと確信している。
|
Research Products
(16 results)