2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390128
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤永 由佳子 Osaka University, 微生物病研究所, 特任准教授 (60252954)
|
Keywords | 微生物 / 細菌 / 毒素 / 上皮細胞バリア |
Research Abstract |
ボツリヌス神経毒素は、腸管上皮バリアを通過して血中に移行することによって、ボツリヌス食中毒を発症させる。巨大タンパク質分子である本毒素がこのバリアを通過する機構は不明な点が多い。最近申請者らは、毒素に結合しているHA (Hemagglutinin)が腸管上皮細胞バリアを突破する新規機能を持つことを発見した。その1つにtranscytosisを促進する機能がある。そこで本年度は、HAによるtranscytosis経路(細胞側)の解析を行った。 [in vitroにおけるtranscytosis解析] in vitroにおいて、HAを介したボツリヌス神経毒素複合体のtranscytosisが起こるCaco-2単層培養系などを確立し、B型HAのtranscytosis経路の詳細をイメージング解析により解析した。その結果、HAはapical側細胞膜に結合した後、一部がクラスリン依存性に初期エンドソームに取り込まれることが明らかになった。その後、かなり多くのHAがbasolateral側の細胞膜表層に検出できることも明らかにした。以上の結果は、HAがin vitroにおいても、積極的にtranscytosisすることを示しており、本系を用いることにより、transcytosisの分子機構の解明が可能になると考えられる。 [各種変異型HAの作製] transcytosis活性を担うHA側のドメインの解析のため、B型HA中の細胞結合能を持つサブユニットであるHA1とHA3の各種変異体を作製した。さらに、変異を導入したサブユニットと野性型サブユニットを混合することによりHAを再構成し、ゲル濾過により再構成の効率および各サブユニットの構成比が野生型と同じであることを確認した。次年度はこれらの再構成変異HAを用いて、transcytosis assayを行う予定である。またC型HAの細胞障害活性を担うドメインを同定するため、C型HAの各種変異体も作製した。
|