2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390130
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉開 泰信 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
|
Keywords | IL-15 / HY特異性CD8T細胞 / リステリア感染 / キラー活性 / γインターフェロン / 負の選択 |
Research Abstract |
IL-15はNK細胞、腸管上皮間Tリンパ球などの分化、維持に重要な働きをする。また正常ナイーブマウスにも存在するCD44highメモリー型CD8T細胞の分化、維持もIL-15の影響を受け、in vitroにおいてIL-15刺激で活性することも知られている。また近年これらメモリー型CD8T細胞はリステリア感染初期に抗原非特異的にIFNgを産生し、感染防御に働くことも示されている。一方、我々は雄個体に発現するHY抗原を特異的に認識するT細胞受容体の遺伝子導入マウス(H-Y Tgマウス)を用いた解析から、雄に存在する雄抗原特異的CD8T細胞、すなわち自己抗原特異的CD8T細胞と先述のメモリー型CD8T細胞が、表面分子の発現パターンのみならず、機能においても類似することを見いだしている。今回我々はこのH-Y TCR Tgマウスの抗原特異的CD8T細胞の分化、維持および機能制御におけるIL-15の関与について検討した。H-Y TCR TgマウスをIL-15遺伝子欠損(IL-15KO)マウスと交配し、雄抗原特異的CD8T細胞の解析を行った。雄抗原特異的CD8T細胞はTCRクロノタイプ抗体で検出し(T3.70+CD8+)、雌マウスのT3.70+CD8+細胞は外来抗原特異的CD8T細胞として対照に用いた。生体内での細胞維持、分裂の解析はT3.70+CD8+細胞をCFSEでラベルした後に、野生型(WT)、IL-15KOマウスヘ移入することで行った。雌マウスのT3.70+CD8+細胞数にはIL-15欠損による変化が見られなかつたが、雄IL-15KOマウスではT3.70+CD8+細胞数が著明に減少していた。このIL-15欠損による自己反応性CD8T細胞の減少には、末梢での恒常的細胞分裂低下、アポトーシスの亢進が関与していた。またIL-15KOマウスでは雄T3.70+CD8+細胞のIFN-γ産生能、細胞傷害活性などエフェクター機能が低下していた。雄T3.70+CD8+細胞を同系雄マウスに移入と同時にリステリア菌を感染させると、激しい細胞分裂とともにIFNg産生が誘導された。しかし宿主をIL-15KOマウスにした場合、IFN-g産生はみられたが、細胞分裂は蓍明に抑制された。正常マウスのメモリー型CD8T細胞と同様に、H-Y TCR Tgマウスの自己抗原特異的T細胞の分化、維持、エフェクター機能獲得にもIL-15が関与することが明らかになった。またこれらがin vivoにおいて自然免疫リンパ球として、エフェクター機能を発現する際にも、IL-15による活性化が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
|
Research Products
(8 results)