2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗原多様なHIVに働く中和抗体の誘導と感染ラットモデルの開発
Project/Area Number |
21390135
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
志田 壽利 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 ディナベック株式会社, 部長 (30373541)
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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Keywords | HIV-1 / 中和抗体 / ラット / 感染モデル |
Research Abstract |
現在、抗HIVワクチン開発の主流はCTL誘導ワクチンであるが、Merck社の失敗にも見られるように、それだけでは不十分である。CTLと抗体誘導の両方を誘導して初めて有効なワクチンとなり得ると考えられる。そこで、広範囲なHIV-1株を中和できる抗体を誘導する免疫方法を確立する事が本研究の第1の目的である。そのために、当研究室で作成したヒト遺伝子CD4/CCR5/CXCR4/CyclinT1/CRM1を発現するトランスジェニックラットに、Envを発現する2種類のベクターを組み合わせて免疫して、抗HIV-1中和抗体の誘導能を検討した.段階希釈した免疫ラットの血清と、各種Envでコートしたdefective HIV-1を混合した後で、TZM-b1細胞(CD4/CCR5/CXCR4を表面に持ち、HIV感染によってluciferaseが発現するindicator細胞)に感染させて、luciferaseが半分の発現になる血清の希釈倍率で判定した.種々のEnvを発現するベクターを作製し、接種量、順序、回数を検討した結果、非常に高い中和抗体を誘導するスケジュールを見いだした.また、種々のHIV-1株への有効性を広げるために、免疫活性化因子の有効性が示唆された.しかし、更なる検討が必要である. CD4/CCR5/CXCR4/CyclinT1/CRM1を導入したトランスジェニックラットのHIV-1感受性を検討するのが第2の目的である.先ず、各種ヒト因子の発現がラットCD4+T細胞、マクロファージで効率よく発現していることを確認した.このトランスジェニックラットから調製したマクロファージへは効率的な感染が見られ、かつ感染性を有する子孫ウイルスが生産された.CD4+T細胞からは感染性を有する子孫ウイルスが生産されたが、侵入過程に阻害があることが示唆された.
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