2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390136
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90263160)
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Keywords | ウイルス / 複製 / 細胞因子 / HIV |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)はエイズの原因ウイルスであり、ウイルスが高度に変異するために薬剤耐性ウイルスがしばしば出現し、現段階では抗ウイルス療法によっても最終的にウイルスを駆逐することあるいはAIDS進行を防ぐことは困難である。そこでHIV1の複製に関与する宿主因子を標的とした新たな治療法の開発が強く望まれており、本研究ではcDNA発現クローニング法によりHIV1複製を阻害する細胞因子を同定するべく解析を行った。これまでに2種類の細胞因子cDNA(A,B)の発現によりHIV-1感染効率は5%以下となることがわかり、HIV1本来の宿主であるTリンパ球由来細胞株でも同様な感染抑制が起こることを確かめた。細胞因子Aは逆転写過程を抑制し、細胞因子Bは逆転写産物の核内移行を阻害していることがウイルス学的解析で判明している。因子Aについては、逆転写過程の抑制とウイルスコアの崩壊加速の関係、因子Aとウイルスコアの結合、抑制機能ドメインの同定、耐性ウイルスなどについて詳細な解析を行った。HIV-1が属するレンチウイルス属においては、逆転写産物複合体が核膜孔を通過することで細胞分裂に依存しない効率的な標的細胞感染を達成していると考えられており、核内移行を阻害する細胞因子Bはこの過程に深く関わると予想している。細胞因子Bはこれまで知られていない新規のHIV複製制御因子である。いずれの細胞因子も過剰発現されているにもかかわらず培養細胞の増殖や表現型に影響が見られないことは、ウイルス複製抑制効果が細胞の生理的活性の抑制を介する間接的なものではないことを意味しており、新規治療法開発のための分子標的候補となりうることが期待される。両因子とも現在、論文投稿準備中である。
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