2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫寛容に必須な微小環境を形成する遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
21390148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50327665)
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Keywords | 自己免疫 / 胸腺 / TNFレセブターファミリー / インターフェロン / 転写制御 |
Research Abstract |
胸腺内の負の選択は自己免疫寛容の誘導機構の一つであり、その際自己抗原を強く認職するT細胞が分化途中で除去される。その際、胸腺髄質に局在する髄質上皮細胞は末梢組織特異的に発現するタンパク質(組織特異的抗原、TSA)を異所的に発現し、未熟なT細胞に提示することで自己反応性T細胞を除去することが明らかとなってきた。髄質上皮細胞で異所的に発現する組織特異的抗原(TSA)は極めて多種類にわたることが知られているが、各組織で異なった発現制御を受けているはずの、これら組織特異的な遺伝子群が髄質上皮細胞ではどのようなメカニズムで多種類にわたって発現するのか、ほとんど明らかでない。 本年度は、胸腺髄質上皮細胞で遺伝子発現を制御すると予想される候補転写因子の同定を目指した。胎仔マウスより調製した胸腺ストローマをin vitroで器官培養中、胸腺髄質上皮細胞の分化を誘導するRANKリガンドタンパク質を作用させ、発現が誘導される遺伝子のプローモーター領域を解析した。誘導される遺伝子のゲノム領域の5'側に結合配列を有する転写因子を、JASPARデータベースを利用し、超幾何分布を仮定してin silicoで抽出した。その解析の結果、転写因子STAT1の活性化が予想された。 実際に胸腺ストローマにおけるSTAT1の活性化をウエスタンブロットで確認したところ、RANKL依存的な活性化が確認できた。ついで胸腺ストローマにおけるSTAT1の標的遺伝子を調べたところ、1型インターフェロンで誘導される遺伝子(インターフェロン誘導遺伝子)が数多く存在していた。そこでRANKL依存的な1型インターフェロンの誘導を検討したところ、IFNbがRANKL依存的に発現誘導することが判明した。 以上の結果は・胸腺髄質上皮細胞でSTAT1が活性化して、遺伝子発現を制御していることを示唆している。
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Research Products
(21 results)