2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 賢也 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60334231)
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Keywords | 腸内細菌 / TH17細胞 / Treg細胞 / 粘膜免疫 / ノトバイオート / 無菌マウス / 腸内フローラ / クロストリジウム |
Research Abstract |
消化管管腔内には、約500種瀕の常在細菌が存在し、免疫細胞と常に相互作用している。腸内細菌はそれぞれがそれぞれ異なる特性を持ち、免疫系に異なる影響を与えていると考えられる。インターロイキン17を産生するCD4陽性制御性T細胞(TH17細胞)は、消化管粘膜に特異的・恒常的に存在する。また転写因子Foxp3を発現するCD4陽性制御性T細胞(Treg細胞)も、マウス体内において消化管粘膜に最も多く存在する。これらの免疫細胞群は腸内細菌によってその分化が誘導されていると考えられるが、腸内細菌それぞれの特性の理解が全く不十分であるためその詳細は明らかになっていなかった。本研究においては、腸内細菌のある特定の菌のみが生着したマウス"ノトバイオート(gnotobiote)"を複数種作製し、TH17細胞・Treg細胞分化に深く影響を及ぼす細菌をスクリーニングするシステムを確立した。それによって、TH17細胞あるいはTreg細胞を誘導する腸内細菌種を絞り込むことを試みた。その結果、TH17細胞を誘導する細菌として、セグメント細菌(Segmented filamentous bacteria)を同定することに成功した。一方Treg細胞の誘導には、クロストリジウム属菌(特にクラスターIVとXIVaに属するクロストリジウム属菌)が重要な役割を果たしていることも見出した。即ち、無菌マウスに於いては、TH17細胞・Treg細胞共に著減しているが、セグメント細菌あるいは46株のクロストリジウム属菌の投与によって、TH17細胞あるいはTreg細胞それぞれの数が十分に回復することを見出した。更に、セグメント細菌の消化管への定着は、病原性細菌防御に正に働くこと、またクロストリジウム属菌の消化管への定着は、腸炎とIgE誘導刺激に対する抵抗性を宿主に付与することも明らかとなった。これらの結果を応用することで、腸内細菌を利用した様々な疾患に対する新たな治療法開発につながると考えられる。
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