2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390155
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 博司 独立行政法人理化学研究所, 免疫系構築研究チーム, チームリーダー (50233226)
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Keywords | M細胞 / RANKL / マイクロアレイ / Spi-B / 腸管免疫 |
Research Abstract |
(1)M細胞分化の分子機構の解析 RANKL投与後初期(1-6時間)のマウス小腸上皮細胞を経時的に回収してマイクロアレイにより遺伝子発現解析を行うことにより、RANKL投与後より早期に発現上昇する転写因子を得た。この転写因子は元々少量発現しているが、その発現量はRANKLにより大きく誘導されることがわかった。この転写因子のヘテロ欠損マウスにRANKLを投与したところ、M細胞特異的マーカー分子の遺伝子発現誘導が野生型マウスに比較して有意に低下していたことから、この転写因子はM細胞の初期分化に重要な役割をなたすことが示唆される。 (2)M細胞の機能解析 M細胞特異的に発現する転写因子Spi-Bの欠損マウスでは、M細胞特異的マーカーのうち、M細胞分化の初期から発現の見られるMarcksl1やAnexa5の発現は保たれるのに対し、後期に発現してくるCCL9やGP2の発現はほとんど消失していた。また、走査電子顕微鏡ならびに透過電子顕微鏡観察の結果、M細胞に特徴的な形態である不規則な微絨毛や基底面細胞膜が大きく陥凹したいわゆる「M細胞ポケット」構造などを持つ細胞が欠損していることがわかった。さらに機能的なM細胞の存在を蛍光ビーズの取り込みにより検討したところ、Spi-B欠損マウスではビーズの取り込みが殆ど見られなかった。これと一致して、M細胞から取り込まれることが知られているサルモネラを経口感染させて、バイエル板におけるサルモネラ特異的T細胞の活性化を測定したところ、野生型マウスと比較してSpi-B欠損マウスではT細胞の活性化が著しく阻害されていた。この結果は、Spi-BがM細胞の最終分化に必須であるとともに、M細胞による抗原の供給は正常な腸管免疫応答に重要であることを示すものである。
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Research Products
(5 results)