2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390159
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳥谷部 真一 Niigata University, 危機管理室, 教授 (20227648)
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Keywords | インシデントレポート / 電子カルテ / テキストマイニング / 転倒・転落 / 医療事故 |
Research Abstract |
本研究の目的は診療記録の多くを占める質的情報(テキストデータ)を活用し、半自動的にインシデント関連情報を収集・解析する方法を確立することである。初年度は、この方法による解析の基礎作りのために、インシデントレポートを中心としたデータ収集を行うとともに、オーダエントリ情報のテキスト部分の情報を収集した。ついで、これらのデータのうち、テキストデータ部分をテキストマイニングの手法を用いて解析し、質的情報から量的情報への変換を行った。こうして得たテキストデータ部分と、それ以外の量的情報の比較検討を行い、インシデントレポート情報だけからでは得られない情報を得られることを確認した。実際にこのアプローチ方法の妥当性を調べるために、発生数が多いインシデントの院内転倒事故を例に取って、データ収集と解析を行った。その結果、インシデントレポート情報と画像オーダ情報のテキスト部分を解析することで、インシデントレポートで報告が漏れていたインシデントを検出することが可能であった。また、画像オーダデータのテキスト解析で得られたインシデント情報によって、インシデントレポートに基づく情報を補完することが可能であり、患者影響レベルが高い事例をより多く検出することが可能であった。こうして得られた転倒インシデント関連情報の解析に基づき、骨折を伴う転倒イベントのリスク因子を解析した。転倒のリスク因子の解析は数多くなされているが、転倒の結果、重大外傷が発生するかどうかのリスク因子解析については、報告がほとんどない。この解析の結果、転倒リスク因子よりも骨折リスク因子の方が転倒後骨折と強く関連していることを明らかにした。この結果を医療の質安全学会で発表した。
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