2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390159
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳥谷部 真一 新潟大学, 危機管理本部危機管理室, 教授 (20227648)
|
Keywords | インシデントレポート / 電子カルテ / テキストマイニング / チャートレビュー / 医療事故 |
Research Abstract |
病院内で起きた有害事象の検出にはインシデントレポートが最も有用であるが、報告は義務ではなく自発的な行為であるために、報告されない事例の存在が問題となる。本研究では、診療情報の多くを占め、しかも十分に活用されていない、電子カルテのテキスト情報に着目した。電子カルテのテキスト情報部分を自然言語処理(NLP)することによって、半自動的に有害事象を検出できないかを検討した。平成22年度までの研究結果は次の通りである。(1)有害事象の真値としてmanual chart reviewを行い、カルテに記載された有害事象を調査した。(2)院内発生の有害事象で最も頻度が高い転倒転落事故に着目して、NLPを用いて、テキストデータから転倒関連情報を拾い上げる選択ルールを作成した。(3)種々のデータ源(インシデントレポート、電子カルテの経過記録、画像オーダ情報、退院総括)に(2)の選択ルールを適用し、(1)の真値と比較して、各データ源を用いた場合の感度や特異度調べた。平成23年度は検討をさらに進め、以下の点を明らかにした。(4)経過記録をデータ源に用いてNLPを行うと、すべての転倒事例を検出できる(感度は高い)が、事例発生ではない情報も拾い上げる(特異度が低い)ため日常使用には不向きであること、(5)感度、特異度ともに優れているのはインシデントレポートだったが、検出までに時間がかかり、患者影響度が高い事例でも報告されないものがある。(5)画像オーダ情報のNLPは、患者影響レベルが高い事例に限れば、感度・特異度も高く、事例検出までの時間も短かかった。以上の結果を、関連学会で発表した。
|