2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーを用いた薬剤代謝酵素の高精度ゲノム配列・遺伝子型決定法の確立
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21390176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関根 章博 京都大学, 医学研究科, 教授 (30425631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 精穂 京都大学, 医学研究科, 研究員 (40523791)
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Keywords | Pharmacokinetics / チトクロームP450 / トランスポーター / 薬剤応答性 / 次世代シークエンサー / 副作用 / レスポンダー・ノンレスポンダー / Pharmacogenomics |
Research Abstract |
薬剤応答性の違い(副作用、responder/non-responder)に関連する遺伝子座を同定することは、投薬前診断にて個人に最適な薬剤を選択する上で極めて重要である。薬剤応答性遺伝子座はゲノム広域全域解析(Genome-Wide Association Study(GWAS)や次世代シークエンサー(NGS))から体系・網羅的に同定できるように考えられがちだが、重点領域の薬剤代謝酵素(Pharmacokinetics:PK)遺伝子群ではfamily内で高い相同性を有する等の理由によりミスgenotypingやミスsequenceの原因となり、薬剤応答性関連遺伝子同定に失敗し、正確な診断ができない。また、ゲノム配列の人種差を考慮すると、日本人PK遺伝子群の正確な情報整備は薬剤導出導入でも重要になる。そこで、family内で高い相同性をもつPK遺伝子群に焦点を当てsequenceとgenotypingが実行できるシステム構築が本課題となる。本年度はメーカーによるNGSスペック向上に遅延が生じたため広域sequenceが実行不可となり、(1)genotyping法による高密度遺伝子型決定法の確立、(2)NGSのターゲット領域sequence法の前処理法確立に計画変更した。高い相同性をもつCYP1A2、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C18、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に注力して解析した。通常、候補領域sequenceはオリゴキャプチャー磁気ビーズが利用されるが、新規配列キャプチャー失敗によるヘテロ接合性情報欠損による懸念から、独自にlong PCR法を確立した。相同性を考慮した特異的プライマー設計プログラムを開発し、各標的遺伝子を5~15kbpのPCRでexon1上流10kbp~最終exon下流3kbp全域を(同領域を2度以上)カバーする手法を確立した。このPCR産物を基質として正確なInvader法によるほぼ全多型(dbSNP登録)のgenotypingを96DNAで実施し、当該遺伝子の高密度多型地図作成に成功した。結果の一部は2.5M GWASチップで得られた遺伝子型で検証、コピー数解析からの照合により遺伝子型決定精度を担保した。構築したgenotyping法で日本人の前記PK遺伝子の高精度検索が実現できるが、H23年度は遺伝子数拡大ならびにNGS法を完成させる。今回構築したlong PCR産物はそのままNGSに利用できるので、本genotyping法と併せてより高精度PK遺伝子地図と解析手法を確立する。
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Research Products
(3 results)