2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルブミン融合技術を基盤としたレドックス制御ナノメディスンの開発
Project/Area Number |
21390177
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
小田切 優樹 Sojo University, 薬学部, 教授 (80120145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 講師 (70398220)
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Keywords | ヒト血清アルブミン / Thioredoxin 1 / Pichia酵母 / 肺障害 / 抗酸化能 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
ヒト血清アルブミン(HSA)は、血中滞留性に富みDDS担体として有用である。そこで、遺伝子融合技術を駆使し、Thioredoxin 1(Trx1)との融合タンパク質(HSA-Trx)を作製した。Trx1は、ヒトの生体内に存在する抗酸化タンパク質の一つである。近年、肺障害モデルマウスに対し、治療効果をあげているが、Trx1は分子量12kDaと低分子タンパク質であり、血中半減期が1時間と非常に短く、血中から速やかに消失するので頻回投与しなければならず、臨床応用を考える上でQOLの悪化につながる。我々は、まず、Pichia酵母を宿主としたHSA-Trx融合タンパク質の発現・精製法を確立した。次に肺障害モデルマウスを用いて、HSA-Trxの有用性評価を行った。方法は、BALB/cマウス(雌性、8weeks)に対し、1,14日目にovalbumin(OVA)20μgを腹腔内投与した。投与開始21,22,23日目に、3%OVAを30分間ネブライザーにて暴露させた。Trx1, HSA-Trx(3.5nmol/mouse)を21日目の暴露開始30分前に静脈内投与した。25日目にマウスを屠殺し、種々の評価を行った。その結果、Trx1投与群と比較し、HSA-Trx投与群ではOVA暴露群に比べ全細胞数や好酸球が有意に減少した。またHE染色の結果から、炎症部位の減少も観察された。さらに、肺組織切片を抗NO_2-Tyr抗体や抗NO_2-cGMP抗体で免疫染色を行ったところ、HSA-Trx投与群において、NO_2-TyrやNO_2-cGMPの産生が抑制されていることが確認された。以上の結果から、HSA-Trxを用いた酸化ストレス関連疾患への治療応用の可能性が示唆された。今後は、Trx1だけでなく、スーパーオキサイドスカベンジ能を有するSODといった他の抗酸化タンパク質との融合化も行っていく予定である。
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Research Products
(54 results)