2011 Fiscal Year Annual Research Report
スタチン製剤による筋障害予防のためのスクリーニング法と遺伝子解析
Project/Area Number |
21390179
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
清島 満 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (10171315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 寛充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20456502)
大澤 陽介 岐阜大学, 医学系研究科, 講師 (60447787)
斎藤 邦明 京都大学, 医学系研究科, 教授 (80262765)
森 一郎 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (40444327)
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Keywords | スタチン製剤 / 筋障害 / 細胞内カルシウム / リアノジン受容体 / 遺伝子解析 / FACS |
Research Abstract |
高コレステロール血症に対して用いられているスタチン製剤はコレステロール合成の律速酵素であるHMGCoA reductase阻害酵素であり、極めて有用性の高い薬剤として知られている。しかしその一方で筋障害などの副作用(筋痛、血中CK上昇)が認められ、稀ではあるが致死的な横紋筋融解症も報告されている。 本研究の目的はこれらのスタチン製剤使用による筋障害の発現を事前に検出するスクリーニング法を確立することである。本来は生検した筋細胞を用いて行うことがベストではあるが、実際上は不可能である。そこでスタチン製剤をリンパ球に添加したところ、Ca^<2+>の細胞内への有意な増加がFACS測定で確認できた。しかも製剤によってその程度は異なり、メバロチンでは全く細胞内Ca^<2+>濃度は変化せず、ロバスタチンで最もCa^<2+>増加度が著しかった。今回の検討でロスバスタチンの基準値を5.2~19.2%(n=38)と設定したが、それ以外の製剤については症例数が少なく、基準値の設定は困難であった。 次いで、FACSで異常値と判定されたサンプルについてリアノジン受容体遺伝子をdirect sequencingで解析したところ、Exon34におけるmutationを確認できた。現在は細胞内Ca^<2+>動態に関与するとされているMRP2,CYP3A4,0ATP-Cなどの遺伝子mutationについて解析を進めている。 なお、メバロチン製剤に関してはFACSを用いた本測定系では細胞内Ca^<2+>濃度の変化は全く認められなかったが、その結果をもってメバロチン製剤は筋障害を生じさせないということにはならない。実際にメバロチン製剤でも筋障害が生じている報告があるので、少なくとも本測定系で検出できない別の機序が存在すると解釈すべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
副作用の症例がもっと多く存在すると予想していたが、それほどサンプルが集まっていない。そのため最もサンプルが多いロスバスタチンに対象を絞って解析することとした(他製剤は症例数が少なく、基準値の設定が困難なため)。しかし、リアノジン受容体遺伝子の解析などは順調に進んでおり、実際これらの症例のなかからmutationを検出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
スタチン製剤使用で筋症状あるいは血中CKが上昇した例をこれまで通りサンプリングに努めるが、スタチン製剤のなかでロスバスタチンが最もEACS測定に適しているので、この製剤に絞って解析することとする。また、これまでリアノジン受容体遺伝子変異のみを対象としたが、本年度はリアノジン受容体遺伝子以外の細胞内カルシウム動態に関与する数種類の遺伝子-(VLCAD, CPTII, PYGM, LDHA, OATP-Cなど)変異について解析する予定である。さらに遺伝子mutation種類とFACSデータを比較し、各遺伝子mutationのカルシウム動態への影響の度合いを検討する。
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Research Products
(8 results)