2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 千香子 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師 (00169963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 洋一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20172356)
高山 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50274444)
堀内 孝彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (90219212)
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Keywords | 肺がん / ゲノム疫学 / 遺伝子多型 / 国際共同研究 / 交互作用 / 喫煙 |
Research Abstract |
本研究は2004年より開始されたinternational Lung Cancer Consortium (ILCCO)国際共同研究の一環として、日本人肺がんにおける炎症反応関連遺伝子の役割と喫煙と炎症反応関連遺伝子多型の交互作用を明らかにすることを目的として行われた。我々は炎症関連遺伝子について文献的考察を行ったところ、インターロイキン(IL)1が肺がん発症に重要な役割を果たしていることが示された。これは、IL1がサイトカインカスケードの初発に関与していることから炎症反応において中心的な役割を果たしているためと考えられる。IL1には現在IL1AとIL1Bの2種類が同定されているが、生体におけるIL1の約90%はIL1Bである。IL1Bには機能的な一塩基多型(SNP)がいくつか報告されているが、その中でIL1Bの生産と関連しているrs1143634(3954C>T)に注目した。性、年齢、教育、飲酒、喫煙を調整したTT多型(リスク多型)のCC多型に対するオッズ比(OR)は3.31(95%信頼区間(CI)=0.71-15.3)であった。喫煙と飲酒ともにサイトカインの産生に関与しているこをが示唆されているので、この多型と喫煙あるいは飲酒との交互作用について検討した。喫煙経験者は非喫煙者に比べて、肺がんリスクは2.73倍(95%CI=1.92-3.89)上昇していた。喫煙者でリスクアレルTを有す者では肺がんリスクは5.45倍(95%CI=2.77-10.69)上昇していた。しかし、このリスク上昇は喫煙によるリスク上昇の関与が大であると考えられる。統計学的(相乗的)交互作用は有意ではなかったが、生物学的(相加的)交互作用は有意であった(P=0.02)。一方、過度の飲酒者(エタノール20g/日以上)でリスクアレルTを有す者では肺がんリスクは2.48倍(95%CI=1.36-4.54)上昇していた。過度の飲酒者の適正飲酒者に対する肺がんリスクは1.75倍(95%CI=1.27-2.41)であった。飲酒の場合は、統計学的、生物学的交互作用はともに有意ではなかった。
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