2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 千香子 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00169963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 洋一 九州大学, 医学研究院, 教授 (20172356)
高山 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50274444)
堀内 孝彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (90219212)
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Keywords | 肺がん / ゲノム疫学 / 遺伝子多型 / 国際共同研究 / 交互作用 / 喫煙 / 炎症 |
Research Abstract |
2004年より開始されたIntemational Lung Cancer Consortium (ILCCO)国際共同研究の-環として、日本人肺がんにおける炎症反応関連遺伝子の役割と喫煙と炎症反応関連遺伝子多型の交互作用を明らかにすることを目的として行った。本年度は、interleukin 6 (IL6)とtumor necrosis factor alpha (TNFα)の遺伝子多型と肺がんとの関連性について、マーナーアレルの頻度が0.1以上でかつ遺伝子多型が機能的であるものを文献的に検索し、解析した。IL6 rs1800796(-572G>C)遺伝子多型においては、CC型に対してCG型とGG型の性、年齢、喫煙、飲酒と教育歴を調整したオッズ比(調整OR)とその95%信頼区間(95%CI)はそれぞれ1.08 (0.77-1.52)と1.51 (0.71-3.24)でありた。同様に、INFα rs1799724(-857T>C)遺伝子多型では、CC型に対してCT型とTT型の調整ORはそれぞれ1.18(0.84-1.70)と1.22(0.53-2.83)であった。両遺伝子多型の調整ORの傾向性は有意ではなかった。組織別の解析も行ったが、2つの遺伝子多型のリスクは腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌において統計学的な有意差は認められなかった。統計学的パワー80%以上を確保するために、喫煙に関しては喫煙経験有りと非喫煙に、遺伝子多型に関してはリスクアレルが1つ以上と0に分類した。rs1800796遺伝子多型では、喫煙者でリスクアレルを有する者では肺がんリスクは有意に上昇していた(調整OR=3.42,95%CI=2.19-5.35)。しかし、喫煙とこの遺伝子多型の交互作用は有意ではなかった。同様にrs1799724遺伝子多型の場合のそれは3.55(2.22-5.69)であったが、喫煙-遺伝子多型の交互作用は有意ではなかった。しかし、この2つの遺伝子多型の交互作用は有意であった(P=0.022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的はほぼ達成できた。本年度の研究成果を同一年度内ではないが、論文としてまとめたり、学会発表を行ったりすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IL1β、1L6やTNFαは炎症カスケード(ネットワーク)において上流にあり、炎症を経由した肺がん発症においては重要な役割を果たしていると考えられる。しかし、昨年度に解析したIL1B遺伝子多型と同様に、IL6やTNFαの遺伝子多型も単独では肺がんリスクへの有意な関与は認められなかった。今後はさらに、日本人におけるマイナーアレル頻度が0.1以上でかつ機能的な炎症関連の遺伝子の遺伝子多型についての検討を行うつもりである。最終的には適切なpathwayモデルを構築し、提示したいと考えている。
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