2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連疾患リスクに関与する免疫遺伝的要因と環境の分子疫学研究
Project/Area Number |
21390199
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
林 奉権 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学/分子疫学部, 免疫学研究室長 (70333549)
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Keywords | ゲノム / 放射線 / 炎症 / 生活習慣病 / 分子疫学 / 遺伝子多型 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
1.ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の第1イントロンに存在するCA繰り返し数多型(合計37以下のShort遺伝子型と合計38以上のLong遺伝子型)と肺がん相対リスクの関連が原爆放射線の被曝の有無によりどのように変化するのかを検討した。その結果、非被曝群ではShort遺伝子型が高い肺がん相対リスク(特に肺腺がん)と有意に関連することを見出した。一方、被曝群ではLong遺伝子型を持つ被爆者の肺がん相対リスクが放射線量に伴って増加する一方、Short遺伝子型のリスクはそのような増加を示さなかった。これらの結果から、放射線被ばくによる肺がんリスクの増加で見ると、Long遺伝子型はShort遺伝子型に比べてより高い放射線感受性を持つ可能性が示唆された。 2.NKG2D遺伝子多型がNK活性の個人差に関連することから、NKG2D遺伝子型とHCVクリアランスの関連を検討した。その結果、特定のNKG2D遺伝子型め頻度がHCVクリアランス群では高く、慢性HCV感染群では低い傾向が見られ、HNK1遺伝子型がHCVクリアランスに関連している可能性が示唆された。 3.放射線による遺伝子傷害感受性の個人差の背景にある遺伝子多型を検討する目的で、がんの既往のない被爆者の赤血球グリコフォリンA(GPA)遺伝子座の突然変異頻度とATM、NBS1およびp53BP1遺伝子多型との関係について調べた。その結果、ATMならびにNBS1の遺伝子型では、GPA突然変異頻度の原爆放射線量効果関係に違いが見られなかったが、1 Gy以上の高線量被ばく者群で、特定のp53BP遺伝子型を持つ人は、その他の遺伝子型を持つ人に比べて、GPA変異体頻度の有意な上昇が認められた。この結果から、原爆被爆者の放射線誘発GPA変異体頻度の個人差にP53BP1遺伝子の多型が関係する可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)