2011 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連疾患リスクに関与する免疫遺伝的要因と環境の分子疫学研究
Project/Area Number |
21390199
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Research Institution | 放射線影響研究所 |
Principal Investigator |
林 奉権 財団法人 放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 副部長 (70333549)
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Keywords | ゲノム / 放射線 / 炎症 / 生活習慣病 / 分子疫学 / 遺伝子多型 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
1.1,520名の対象者の血漿中活性酸素を測定した結果、血漿中活性酸素レベルが被曝線量に比例して上昇している結果を得た。また、血液中の細胞内活性酸素(H_2O_2,O_2^-)を1,600名の対象者について測定した結果、顆粒球、単球、リンパ球、さらにCD4^+またはCD8^+T細胞の細胞内のO_2^-レベルが年齢、被曝線量の増加に伴って上昇していた。 2.IL18遺伝子型と血漿中IL-18レベルを1,399名の非がん歴健常者について調べた結果、被爆者において、IL18-C/Cを持つ集団でそれ以外の集団に比べてIL-18レベルが有意に増加していた。 また、結腸直腸がん194症例と2,132名のサブコホートにおけるCD14およびIL18遺伝子型を調べ、遺伝子型と放射線被曝線量の組み合わせに対するがんリスクを調べた結果、対象者を被曝線量によって3群とCD14またはIL18遺伝子型各2群(CD14-A/A vs.CD14-othersとIL18-C/C vs.IL18-others)に分けたとき、CD14-A/AとIL18-C/Cを持つ高い被曝線量の原爆被爆者は、CD14-othersとIL18-othersを持つ非被曝者に比べて、さらに結腸がんリスクが増加した。これらの結果は、CD14およびIL18に関連した炎症応答が原爆被爆者の直腸発がんには関与しないが、結腸がんの発生に関与していること、また、CD14とIL18遺伝子型によって放射線への応答が異なる可能性を示唆していた。 3.原爆被爆者での糖尿病発症リスクとCDKAL1遺伝子多型(T/T vs T/G or G/G)との関連を調べた結果、非被曝者でCDKAL1-T/Tを持つ集団に比べてCDKAL1-T/G or G/Gを持つ集団の糖尿病リスクは有意に高かったが、高線量被曝者ではさらにリスクの増加を認めた。
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Research Products
(8 results)