2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルキャピタルが高齢者の要介護発生リスクに及ぼす影響に関する社会疫学研究
Project/Area Number |
21390200
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
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Keywords | 医療・福祉 / 行動学 / 社会医学 / 情報工学 / 老化 |
Research Abstract |
(1)ソーシャルキャピタルに関するアンケート調査の実施:宮城県大崎市の40歳以上住民約7万8千人のうち5%無作為抽出した4,128人に対して、平成21年12月にアンケニト調査票を郵送した。調査票は、近隣でのつきあい、社会的な交流、人に対する信頼感、相互信頼・相互扶助、社会参加の頻度など、ソーシャルキャピタルの程度に関するものであった。その結果、2,677人からアンケート調査票の返送があった。有効回答者2,620人(有効回答率:63.5%)を解析対象とした。 (2)アンケート回答の集計解析:大崎市は平成18年3月に1市6町の合併により誕生した。そして、同市の小学校区は30ヶ所に分けられる。そこで、旧1市6町、30小学校区のそれぞれについて、アンケートの回答を集計した。その結果、ソーシャルキャピタルの程度には、相当の地域格差があることが分かった。 (3)解析用データベースの構築:平成18年度に実施した生活習慣アンケート調査のデータ、30小学校区別のソーシャルキャピタルに関するデータ(今回の調査結果)、介護保険認定や死亡転出に関する追跡データなど、関係するデータセットのリンケージ作業を実施して、解析用データベースを構築した。さらに、統計解析に向けたデータ編集作業を行った。 (4)ソーシャルキャピタルの地域差が高齢者の健康と生活行動に及ぼす影響に関するデータ解析:小学校区を単位として、ソーシャルキャピタルの程度と平成18年度アンケート調査結果(基本チェックリスト得点、疾患既往歴、喫煙・飲酒・肥満などの生活習慣、身体活動や認知的活動の頻度、心理的苦痛(K6)、社会的支援の有無など)との関連を解析した。その結果、社会的な交流が活発で人に対する信頼感の強い(ソーシャルキャピタルの豊富な)地域では、身体活動や認知的活動の頻度が高く、心理的苦痛の頻度が低いことが分かった。
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