2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模双生児家系縦断データに基づく生活習慣病発症に対する胎内環境仮説の実証的研究
Project/Area Number |
21390206
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404)
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Keywords | 双生児 / 遺伝疫学 / 胎内環境仮説 / ライフコース / 生活習慣病 / データベース / 出生体重 / 長期縦断データ |
Research Abstract |
大規模双生児家系長期縦断データベースを構築し、中学入学時(11~12歳)、在校時(13~18歳)、卒業後(19歳~)の複数時点で、胎内環境マーカー(母親体重、児出生体重、妊娠期間など)と生活習慣病関連マーカーの関連を双生児個人レベルで解析した。さらに、生活習慣病マーカーおよび発症における遺伝要因と環境要因(胎内環境、生後環境)、および両者の交互作用の長期縦断的な影響を分析した。双生児においても単胎児と同様に子宮内環境仮説が成立することが示唆された。しかし、単純に出生体重をもとに評価を行った場合、双生児では単胎児よりも発症リスクが低く、双生児という子宮内での不利な環境要因がトリガーとなり児に何らかの適応メカニズムを働かせていることが想定された。胎内環境要因として、現在一般人口の2%、双生児の多く占める生殖補助医療の影響をさらに検討することとし、その基礎的なデータ解析を行った。また、胎内環境マーカーの一つとして利き手の可能性にも着目した。将来的に適応に関わる要因が同定されれば、胎児適応メカニズムの解明とその医学的応用という新たな分野の発展が期待できる。また、生活習慣病発症に関する、環境要因と遺伝要因の長期的な寄与の程度が年齢とともにどのようにダイナミックに変化するかの様相を検討した。その結果、例えば従来型の保健指導を行う場合でも遺伝要因(多くの場合は家族歴で代用する)を加味した生活習慣病のきめ細かな対策が必要であることが示唆された。日本では、近年生活習慣病の中でもメタボリックシンドロームに対する一般的関心は強い。その遠因の一部が胎内環境・出生後初期の要因に求められ、生活習慣病対策にも、成人期のリスク因子の改善だけでなく、妊娠前からの健康教育(例えば、無理なダイエットの予防など)や親世代の社会経済的環境などのマクロ面での検討も必要であると結論された。
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