2010 Fiscal Year Annual Research Report
粥状硬化と細動脈硬化の進展に及ぼす生活習慣・危険因子の影響に関するコホート研究
Project/Area Number |
21390214
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Research Institution | Osaka Medical Center for Health Science and Promotion |
Principal Investigator |
北村 明彦 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 部長 (80450922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健次 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 参事兼医長 (00416182)
大平 哲也 大阪大学, 医科系研究科, 准教授 (50448031)
今野 宏規 大阪大学, 医科系研究科, 助教 (90450923)
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Keywords | 動脈硬化 / 進展因子 / 追跡調査 |
Research Abstract |
本研究は、都市部のドック受診者の追跡調査により、血管部位別の動脈硬化の進行の実態および種々のリスクファクターとの関連を追跡研究にて明らかにしようとするものである。平成21~23年度に追跡調査を順次行って分析対象者数を蓄積し、24年度に最終的な解析を行う計画である。 平成13~16年度にベースライン調査を実施した男女計604人に受診を募り、平成21、22年度の受診人数は計157人である(受診率26%)。平成21、22年度実施分にPreliminaryに調査した分を加えて、頸動脈最大IMT(内膜・中膜複合体厚)と冠動脈石灰化スコア(Agatston法による)の進行要因についての解析を行った。 頸動脈最大IMTの検討は、平成13~21年度に頸部エコー検査を複数回実施した男性159名(平均年齢56歳)を対象とした。平均の追跡期間は3.7年であった。1年あたりのIMT変化量(初回検査時と最終の検査時の最大IMTの差を経年期間で割った値)を動脈硬化進行度の指標とし、最大IMTの変化量別にA群:変化なし又は減少、B群:軽度増加(0.1mm以上0.2mm未満/年)、C群:増加(0.2mm以上/年)の3群に区分し、最終検査時の主な危険因子レベルとの関連を検討した。A群を「変化なし」、B・C群を「増加」とした場合の多重ロジスティクモデルによる多変量解析の結果では、総頸動脈IMTの増加にはHDLコレステロール値が、内頸動脈IMTの増加には最大血圧値がそれぞれ有意な関連因子となった。具体的には、HDLコレステロール値が1mg/dl高いことは総頸動脈の動脈硬化進行リスクを4%抑制し、最大血圧値が1mgHg高いことは内頸動脈の動脈硬化進行リスクを3%高めることが示された。 冠動脈石灰化スコアの検討は、2001年から2003年に冠動脈単純CT検査を受け、再度2009年度に同検査を受けた男性28名(平均年齢59歳)、女性40名(同63歳)を対象とした。平均の追跡期間は6.8年であった。男性は女性に比し初回時から石灰化スコアが高い傾向であり、追跡後の石灰化スコアの増加量の平均値も大きい傾向であった。石灰化スコアの増加量と各因子の関連について重回帰分析による多変量解析を行った結果、男性では加齢とは独立してHbAlc(ヘモグロビンAlc)値の高値が、女性ではHDLコレステロール値の低値と喫煙経験が有意の関連因子となった。
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