2012 Fiscal Year Annual Research Report
年齢依存性発現生体分子の網羅的検索・同定と法医学的年齢推定への展開
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21390215
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飯田 礼子 福井大学, 医学部, 准教授 (40139788)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 法医学 / 遺伝子発現 / 年齢推定 |
Research Abstract |
本研究は、(1)トランスクリプトームおよびプロテオーム解析による年齢依存性生体分子の検索・同定 (2) 年齢依存性生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連の解明 (3) 年齢依存性生体分子の定量法の確立 の3項目を目的として実施している。平成24年度は、上記項目(1) および(2)について以下の解析を行った。 (1) 年齢依存性生体分子の検索・同定 活性酸素の代謝に関わるマウス腎の新規タンパク質M-LPは年齢依存性生体分子である。報告者はこれまでにM-LP遺伝子の年齢依存性発現は新規転写抑制因子Rhitに依存していることを明らかにした。このことから、Rhitによって転写を制御される遺伝子群(標的遺伝子群)は年齢依存性生体分子である可能性が高いと考えられる。そこで、Rhit遺伝子の発現を抑制し、この操作によって発現量が変動する遺伝子群をPCRアレイ法により検索した。従前の研究により、Rhit/M-LPは酸化ストレスに関係していることが示唆されたため、今回は酸化ストレス関連遺伝子のアレイを用いて実験を行った。その結果、発現が有意に促進される8遺伝子(Gpx1, Gpx8, Slc38a3など)および発現が有意に抑制される29遺伝子(MPO, Rag2, Aassなど)を同定した。 (2) 年齢依存性生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連の解明 マウスM-LPのヒトホモログであるM-LPHの生理的機能を明らかにするため、抗体を固定した磁気ビーズを用いて免疫沈降法による結合タンパク質の単離を行った。精製試料をLC-MSMSにより分析した結果、M-LPH と生理的条件下で相互作用すると予測される4つのタンパク質を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)平成21~24年度の間に、申請時に記載した「研究の目的」の8割程度を達成した。しかし、法医学的応用まで展開させるための試料の入手における倫理的問題があるため、この項目に関しては遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の計画通りに研究を推進するが、上記研究目的(2) (年齢依存性生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連の解明 )で着実に結果が得られ、今後の発展が期待できるので、特にこの項目について精力的に研究を推進する。
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