2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物関連死の剖検診断の新たな展開に向けて:遺伝学的背景の検討
Project/Area Number |
21390218
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
久保 真一 Fukuoka University, 医学部, 教授 (10205122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 助教 (70301687)
松末 綾 福岡大学, 医学部, 助教 (70309920)
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Keywords | 横紋筋融解症 / 薬毒物 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
法医解剖症例の中から、覚せい剤が検出された18剖検例について、腎臓を試料として、HE染色、抗ミオグロビン(Mb)抗体、抗8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OH-dG)抗体による免疫組織化学的染色を行った。Mbと8-OH-dGが両方とも陽性となった症例のうち、死因や死亡前の推定される病態から、外傷性の筋組織の傷害や、Methamphetamine、Mb以外に酸化障害を来たす可能性がある症例を除外した。その結果、横紋筋融解症疑い例は18剖検例中6例と考えられた。 覚せい剤が検出された18剖検例及び健常人10例からDNAを抽出し、RYR1遺伝子のhot spot領域、CPT II遺伝子、VLCAD遺伝子、CYP2D6遺伝子について、ダイレクトシークエンス法で変異を探索した。覚せい剤が検出された18剖検例について、遺伝子検査の結果、RYR1遺伝子にアミノ酸置換を伴う変異が認められたのは2例であった。CPT II遺伝子は、酵素活性に関係しない変異が多くの剖検例で認められた。また、1例において、これまでに報告のない新規の変異が認められた。VLCAD遺伝子では、酵素活性に関係しない変異が6例に認められた他は、アミノ酸置換を伴う変異は認められなかった。CYP2D6遺伝子では、活性の低いCYP2D6^*10のホモ接合体が18剖検例中3例、未報告の変異が2例に認められた。RYR1遺伝子に認められたアミノ酸置換を伴う変異とCPT II遺伝子に認められた新規の変異は、今回調査した健常人には認められなかった。
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