2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物関連死の剖検診断の新たな展開に向けて:遺伝学的背景の検討
Project/Area Number |
21390218
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
久保 真一 福岡大学, 医学部, 教授 (10205122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 助教 (70301687)
松末 綾 福岡大学, 医学部, 助教 (70309920)
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Keywords | 横紋筋融解症 / 薬毒物 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、症例を追加し、検討を行っている。横紋筋融解症の疑い例は、法医解剖症例の中から覚せい剤が検出された剖検例について、腎臓を試料として、HE染色、抗ミオグロビン(Mb)抗体、抗8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OH-dG)抗体による免疫組織化学的染色を行った。Mbと8-OH-dGが両方とも陽性となった症例のうち、死因や死亡前の推定される病態から、外傷性の筋組織の傷害や、Methamphetamine、Mb以外に酸化障害を来たす可能性がある症例を除外した。 覚せい剤が検出された剖検例からDNAを抽出し、RYR1遺伝子のhot spot領域、CPT II遺伝子、VLCAD遺伝子、CYP2D6遺伝子について、ダイレクトシークエンス法で変異を探索している。各遺伝子にそれぞれ様々な変異が認められている。即ち、RYR1遺伝子にアミノ酸置換を伴う変異が認められた。CPT II遺伝子は、酵素活性に関係しない変異が多くの剖検例で認められた。また、これまでに報告のない新規の変異が認められた。VLCAD遺伝子では、酵素活性に関係しない変異が認められた他は、アミノ酸置換を伴う変異は認められなかった。CYP2D6遺伝子では、活性の低いCYP2D6^*10のホモ接合体、未報告の変異が認められた。しかし、これまでの報告にあるような明らかに横紋筋融解に関連する変異は確認できていない。追加症例についても、されに解析を進め、薬毒物関連死の遺伝学的背景を検討していく予定である。
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