2011 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲンによる老年疾患抑制機構の解明:細胞老化から虚弱化まで
Project/Area Number |
21390220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00261975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80282630)
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20323579)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20431869)
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Keywords | 長寿 / 老年病 / 男性ホルモン / アンドロゲン / テストステロン / DHEA |
Research Abstract |
老年病の病態形成におけるアンドロゲンの役割と老化プロセスに対するアンドロゲンの作用を解明する目的で、昨年度に引き続き臨床研究、基礎研究を行った。 70-96歳の軽度要介護高齢者214名(男性117名、女性97名)を平均32か月間追跡調査し、開始時の血清性ホルモン濃度と死亡との関連を解析した。多変量解析の結果、男性ではテストステロンが3分位で下位の群が、女性ではdehydroepiandrosterone-sulfate(DHEA-S)が下位の群が、上位群に比べて3-4倍死亡リスクが高かった(Geriatr Gerontol Int 2011)。 培養血管内皮細胞を用いた研究では、アンドロゲン受容体が細胞膜レベルでc-SrcおよびCaveolin-1と共存し、eNOS活性化につながることを見出し(論文投稿中)、関連する成果を英文総説として報告した(Hypertens Res 2012)。また、アンドロゲンは酸化ストレス誘導性の内皮細胞老化を抑制し、神経細胞との共培養系では内皮細胞老化が神経細胞老化を誘導したが、内皮細胞をアンドロゲンで処理することで神経細胞の老化も抑制された(PLoS One 2012)。認知症を呈する老化促進マウスSAMP8を用いた検討では、学習機能と血清テストステロンの低下、精巣のLeydig細胞と脳の海馬の顕著な老化形質を認めたが、テストステロンの補充によりこれらはすべて改善し、抗老化遺伝子Sirt1の発現回復もみられた(PLoS One 2012)。同マウスを用いて引き続きサルコペニアの解析を行っている。 これらの研究結果から、細胞老化から老年疾患、特に虚弱化の過程にアンドロゲンが深く関わることがわかり、今後の成果も含めて治療法にも応用できると期待される。
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Research Products
(6 results)